表題番号:2014S-181 日付:2015/04/10
研究課題移住労働によってもたらされる「子どもの貧困」の一考察-カンボジアを事例に-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 平山郁夫記念ボランティアセンター 助教 島崎 裕子
研究成果概要
 カンボジアにおいて農村における移住労働は日常のものとなり、以前に増して家族の移住労働によって子どもにもたらされる問題が見えてきた。家族で移住労働した子どものなかには親とは異なる職に就く場合などからの家族分離や、流動的な社会環境に身をおくことによる日常生活の不安定化がうかがえた。さらには、移住先などで児童労働に巻き込まれた子どもが保護されたにも関わらず養育者不在により、戻る場所を失う子どもたちが少なくなかった。また、親のみで移住労働をする場合もあり、子どもだけで出身地に残り、年長の子どもが年少の子どもの世話をするという、子どもの保護が充分になされていない状況なども見受けられた。これらの状況は、脆弱世帯により強く表れており、子どもがより貧困化していく要因となっていた。よって一層加速するであろう、家族単位での移住労働において、引き続き子どもにもたらされる状況を注視していく必要がある。このことは、同じメコン河流域諸国内において今後想定される脆弱者世帯の移住労働に有効な視点を提示することにつながるであろう。