表題番号:2014S-022 日付:2015/03/10
研究課題違法性阻却論の諸相
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 大学院法務研究科 教授 山口 厚
研究成果概要

  本研究では,違法性阻却について,一般基準と個別適用の視点を交錯させ,検討を加えた。とくに自招侵害と承諾論に焦点を当てた。

 自招侵害の問題を解決するためには,正当防衛論についての深い検討が求められるため,正当防衛に関する諸問題の見直し作業を併せて行った。正当防衛の理解に関しては,優越的利益原則の射程がとくに問題になるため,その視点に立脚する近似の見解について批判的検討を加え,その限界を明らかにした。その上で,自招侵害に関する判例を再定位し,その意義を明らかにした。承諾論の関係では,仮定的承諾と推定的承諾の理論的区別を明確化し,その上で推定的承諾の理論的意義を明らかにした。