表題番号:2014K-6298 日付:2015/04/07
研究課題アダプティブ・多種探索PSOアルゴリズムをベースとしたリアルタイム制御方式
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授 馬場 孝明
研究成果概要
粒子群最適化(PSO)アルゴリズムは最適化問題を解決する手法の一つであり、様々なシステムに幅広く応用されている。しかし、従来のPSO応用システムでは、一種類のPSOアルゴリズムの適用を前提とするため、動的非線形システム等の複雑な探索が極めて困難となる。そこで本提案は、多種類のPSOアルゴリズムを用いそれぞれの利点を活かすことで、どのような状況でも最適な探索を達成できる「アダプティブ・多種探索PSO」の研究を行う。そのために、昨年度は多種類のPSOアルゴリズムを一元化し、選択係数の概念を導入することで、多種類のPSOアルゴリズムが同時に探索できる多粒子群最適化(MSPSO)アルゴリズムを開発した。今年度はMSPSOをベースとし、粒子群の収束状況に応じて選択係数を変化させることで、多種類のPSOアルゴリズムを同時に動作させ、かつ粒子群全体を適切に切替えるアダプティブ・多種探索PSO(AMSPSO)を実現した(研究業績[1, 5])。これは、実社会において異なる役割を持つ集団(例、技術者、教員、警察など)が、それぞれの適した場で時には他集団と協力しながら任務を遂行するような社会構成を模式したアルゴリズムである。つまり、異なる働きを持つ多種類のPSOを粒子群の収束状況に応じて、適宜、切替える。適切なPSOの選択および多様な収束過程の実現により、どのような状況でも最適な探索を達成でき、収束速度としても従来と比較して2倍から3倍までに向上した(研究業績[2])。
AMSPSOの性能分析には、Microsoft社のVisual Studioを用いて作成したシミュレーションモデルを用いた。高探索性能が要求される配車ルート(Vehicle Routing Problem)を例にとり、仮定したターゲットの最適解が動的に変化する関数を適用した。その結果、従来手法と比較して最大6.46%配車コストを削減したともに収束性能を約2倍に向上させた。また、従来手法よりも状況を踏まえた最適なルートの探索方法を実現した。さらに、AMSPSOに関するハードウェア開発にも行い、従来PSOハードウェアと比較することで、システム全体の性能を10倍に向上させた(研究業績[3, 4])。