表題番号:2014K-6282 日付:2015/04/01
研究課題韓国の生活陶器オンギ(甕器)に残された製作技法の調査・研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 佐々木 幹雄
研究成果概要

本研究は、韓国の生活陶器である甕の肩部に回る縄状突帯と胴部に残る連続刻み状痕跡いついて聞き取り調査し、その由来、意味などを考察したものである。

その結果、突帯の意味は、飾りとする意見が多いなか、乾燥時の縦割れや歪み防止、使用時に運び易くするための縄掛け用、といった機能面を指摘する意見もあった。筆者は海外の例から、成形時の歪み補正と想定していたが、甕の肩部に割竹をタガ状に回すものが使用例として展示されているのを確認したので、運搬、移動に当たり手掛りとするため予め粘土で作ったものとも考えられる。

一方、甕の連続刻み状の痕跡であるが、全羅道(済州島を含む)だけでなく、慶尚道にもあることが確認された。痕跡は成形後の器面調整において、ヘラ工具が器面の凹凸により微妙な振動を生じ、器面を一定間隔で刻み込んでしまうもので、日本でいう飛び鉋の起源とも考えられる。なお、呼称の由来は、器面調整の際、轆轤の回転により器面周辺に生じた「風」が工具と接触して生ずる「ブーン、ブーン」という空気音にある。それが地域により、プルン、フルン、プルルン、ポロロンなどと呼ばれるようになったものである。