表題番号:2014K-6277
日付:2015/04/10
研究課題ギュスターヴ・フロベールにおける18世紀の作家の影響-マルキ・ド・サドのケース-
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 中野 茂 |
- 研究成果概要
従来は19世紀文学の枠の中から、あるいは20世紀文学への影響という観点から論じられることが多かった19世紀フランスの作家ギュスターヴ・フロベールは、さまざまな資料から明らかになりつつあるように、18世紀というパラダイムの中で思考し執筆した作家であった。報告者は、これまでフロベールと18世紀の作家との影響関係を解明してきたが、今回はサド作品が青年期のフロベールに与えた影響を詳らかにした。
19世紀において禁書とされていたにもかかわらず多くの作家に影響を及ぼしたサド作品の当時の受容の全貌を明らかにすることで、19世紀のフランス社会が文学に求める〈暗黙の役割〉を浮かびあがらせた。さらに、この〈暗黙の役割〉に対して青年フロベールがいかに対峙し、どのような〈文学的闘い〉を繰り広げていったかに迫った。