表題番号:2014K-6272 日付:2015/04/04
研究課題唐代墓室壁画の基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 小林 岳
研究成果概要
 今次の研究計画では、特定課題選球助成費(2014B-498) と併せて2014年8~9月に中国陝西省西安市および周辺地域におけるフィールド調査を実施し、拙著において乾陵博物館の管理下に置かれる李賢墓に附随する李賢家族墓の一つとして存在すると推測した南陽張氏墓(李賢の妃濱)の調査をメインとし、これに加えて李賢墓・懿徳墓・永泰墓の墓室の内部構造の再調査、陝西歴史博物館附属壁画館收蔵の隋唐墓壁画の再調査、西安市周辺で実施されている隋唐墓発掘の現地見学、最後に陜西省考古研究院における出土壁画の修復情況の調査、乾陵博物館館長樊英峰氏および陝西歴史博物館研究員王建岐氏らとの隋唐墓壁画に関する研究情報の交換をおこなう予定であった。しかし同年7月半ばより中国発ニュースや現地からの情報により乾県や寧夏回族自治区等のフィール調査に多少とも不安を覚える事態にいたったため、訪中計画を中止して2015度以降に実施を予定した欧州各博物館蔵中国古代美術資料の調査を前倒しして、ドイツ連邦共和国ベルリン市西郊ダーレムドルフ(Dahlem-Dorf)の国立ダーレム博物館(Museen Dahlem)所蔵中国トルファン出土壁画の調査をおこなった。この計画変更に関しては8月初旬に特定課題計画変更理由書を提出済みである。
 なお併せて近年西安周辺から陸続と出土する隋唐時代の墓碑誌石に関する整理と分析および文字資料のデータベース化の研究作業は順調に進み、一定の成果を得た。 また王建岐氏との研究情報の交換も継続しているが、とくに同年9月半ばに同氏が来日したため最新の研究情報を得ることができた。
 最後に、本研究課題および研究出張の目的に直結するものではないが、本属である高等学院の世界史授業を充実させるためベルリン市北方オラニエンブルク市(Oranienburg)のザクセンハウゼン記念施設・博物館(Gedenkstätte und Museum Sachsenhausen ,Sachsenhausen Memorial and Museum)を訪問し、ナチ政権下の強制収容所に関する授業用資料として「ザクセンハウゼン強制収容所訪問記」(『研究年誌』第56号、早稲田大学高等学院、2015年3月)にまとめたことを報告する。