表題番号:2014K-6163 日付:2015/04/08
研究課題プラキシトン状態の発現とその空間モードの可視化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 井村 考平
研究成果概要

 貴金属ナノ構造体に光励起される素励起の一種であるプラズモンは,光をナノ空間に閉じ込め光電場を増強する。半導体ナノ構造体に光励起される素励起の一種であるエキシトンは,プラズモンと比べて寿命が長く,実現性や安定性など応用上の利点が多い。プラズモンとエキシトンが強結合する状態はプラキシトン状態と呼ばれ,二つの素励起の利点を合わせ持つ新しい光励起状態として注目を浴びつつある。本研究では,貴金属ナノ構造体と半導体ナノ構造体とが融合した構造を精密に作製し,それを単一レベルで研究することを目的とした。

 プラズモン媒体として金ナノロッドをエキシトン媒体として半導体ナノドットを化学合成しこれらの混合試料を作製した。試料からの蛍光および二光子発光を検出し,プラキシトン状態に起因する空間特性を近接場光学顕微鏡を用いて可視化した。可視化像には,プラズモンモードに帰属される空間構造が観測されたが,明瞭なエキシトンの影響が認められなかった。このことは,プラズモンとエキシトンが弱結合状態であることを示す。