表題番号:2014K-6123 日付:2015/04/10
研究課題面外方向繰り返し荷重を受けるCRRP積層板の破壊メカニズム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 川田 宏之
研究成果概要

本研究では,層間高靱性化CFRP積層板の面外方向における疲労強度特性の評価を行うことを目的とした.層間に熱可塑性粒子を含んだ層間強化層を持つプリプレグ,T800S/3900-2Bを一方向に88 ply積層し,成形された厚肉CFRP積層板よりスプール形状の試験片を作製した.試験片の両端を精度よくタブと接着し,面外方向の負荷を可能とした.また,層間強化層を考慮した有限要素解析を行い,スプール形状試験片の応力状態を評価した.さらに,得られた試験結果に解析式を適用し,面外方向の疲労強度特性を定量的に評価した.以下に得られた成果,結論を述べる.

1)スプール形状試験片および接着冶具を用いることで,接着時に試験片とタブの接着が精度よく行えるため,面外方向特性の厳密な評価が可能となることが示された.さらに,接着後のタブ付き試験片の接着部に補強を行うことで,過去に報告の少ない面外方向の疲労試験を行うことに成功した.

2)静的試験結果について,面外方向垂直応力の応力集中を考慮し評価した結果,面外方向の静的強度特性は,面内トランスバース方向の静的強度特性と比べて低下することが示唆された.また,層間高靱性化CFRP積層板に面外方向の荷重が作用した際には,繊維層での破壊が支配的であることが示唆された.

3)面外一方向材の疲労試験結果について,面外方向応力の応力集中を考慮して評価した結果,面内トランスバース方向の疲労強度特性と比較して,面外方向の疲労強度特性は低下する傾向が見られた.また,静的試験以上に繊維層での破壊が支配的であることが示唆された.

4)疲労試験結果にH-k則を適用し,解析的に疲労強度特性を比較した.S-N線図へのフィッティングにより得られた各材料パラメータは面外方向がH1.76k9.47,面内トランスバース方向がH0.991k16.6となった.さらに,面内トランスバース方向の材料パラメータを用いて面外方向の疲労寿命を予測したところ,長寿命側に予測した.この結果より,面外方向の疲労強度特性が低くなることが解析的に示された.

5)静的試験後の破面と比較し,疲労試験後の破面では繊維への樹脂の付着量が少ないことから,繰り返し荷重による繊維/樹脂界面はく離の発生が示唆された.したがって,面外方向,面内トランスバース方向ともに,疲労荷重下においては,繊維/樹脂界面はく離を起点として発生したクラックが,臨界き裂長さに達した時点で破断することが推察された.さらに,面内トランスバース方向ではクラックの進展方向に破壊靱性値の高い熱可塑性粒子を含む層間強化層をクラックが進展する必要があることから,面外方向は面内トランスバース方向と比較して,疲労強度特性が低下するものと結論付けた.