表題番号:2014K-6068 日付:2015/03/30
研究課題漢字熟語の読みにおけるFamily Size及びFamily Frequencyの効果
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 日野 泰志
研究成果概要

 複数の漢字で構成された漢字熟語を読む際には,個々の漢字に対応する形態素レベルの表象への分解と語全体レベルの表象への統合処理が関与すると仮定される(e.g., 楠瀬・吉原・井田・薛・伊集院・日野, 2014; Taft, 2003; Taft, 2004; Taft & Kougious, 2004; Taft, Zhu & Peng, 1999)。さらに,この統合処理の速度は,熟語内構造を示す手がかりの有効性に依存するはずである。漢字三字熟語の多くは,二字熟語に漢字1文字を付加した構造を持つことから,三字熟語の単漢字部分として頻繁に使用される漢字は,熟語内構造を示す有効な手がかりとして機能し,統合処理を促進する可能性がある。そこで,語彙判断課題において,漢字三字熟語の単漢字部分の使用頻度(Family Size及びFamily Frequency)を操作したところ,単漢字部分の使用頻度が高い三字熟語程,語彙判断課題の成績が高かった。この結果は,漢字熟語を読む際に,形態素レベルの表象への分解と語全体レベルの表象への統合処理が関与することを示唆するものであった。