表題番号:2014K-6020 日付:
研究課題ドイツにおけるヴェルディ・オペラ受容の歴史的変遷とその意味をめぐって
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 丸本 隆
研究成果概要

本研究は、2012年度より行ってきた本研究者を代表者とする科学研究費とテーマを同じくし、その研究を補完すべく目標設定されたものである。科研費に関しては本年度が最終年度に当たり、これまでに収集しきれなかった資料の追加収集や、研究課題のまとめの作業が中心となり、そのため特に夏季休業期間中に、その遂行に有利なベルリンにおける大学図書館での作業を重要的に行った。そのため比較的長期の滞在が必要となったが、科研費での不足分を本特定課題の補助金で補うことにより、滞在日数を大幅に増やすことが可能となり、本課題研究が大きく進展した。そうした作業をベースに、昨年3月に演劇学会紀要『演劇学論集』に寄稿したヴェルディとリソルジメント・オペラにかかわるテーマ研究をさらに推し進め、イタリアとドイツにおける19世紀のナショナリズムについて、その一般的な特徴、文化的なありかた、さらにはそれがオペラにいかに表現されたかという点に焦点を定めつつ、18世紀後半に両文化圏に足場を置いたモーツァルトを起点とし19世紀後半のヴァーグナーへといたるより純粋なドイツ・オペラを目指すドイツ語圏のオペラの方向性との比較において、ヴェルディとその同時代のオペラへの考察を進めた。その成果の一部は、本年2月、本学法学部紀要『人文論集』に掲載した論考、早稲田大学オペラ/音楽劇研究所の定例研究会と兼ねて広く公開した本研究者の最終講義における発表、また現在、同研究所で企画中の出版物(2015年度中に刊行の予定)に取り入れることができた。さらには前述の出版物の企画において行われてきた、執筆者各自の原稿を持ちよっての相互批評やディスカッションを、本研究の一環と位置づけ積極的に参加したことも、本研究にとって有意義であった。このようにさまざまな成果を得た結果、当初より予定している本課題にテーマ設定した著作を執筆するための準備が整ったといえる状況にある。