表題番号:2014K-6003 日付:2015/04/04
研究課題未完小説の物語上のテーマの行方-プルーストの忘却と第六巻の分析・編集考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 徳田 陽彦
研究成果概要
プルーストの作品『失われた時を求めて』の第六巻『消え去ったアルベルチーヌ』は未完で作者の死後出版された。残されているのは、清書原稿と二篇のタイプ原稿である。後者のプルーストが死の直前に改変した原稿が、1986年プルースト・モーリアック家から発見され、翌年、作者の弟の孫であるナタリー・モーリアックが”作者の手によるによる最終稿”であると出版した。それは従来の版より、3分の1に縮約されたもので、筆者はいくつもの編集特徴から雑誌掲載用の抜粋であるとの仮説をたてた。結論はいまだにでていない。
今回は、第六巻の完璧な版は存在し得ないという前提のもとで、1925年NRFの初版、1954年のプレイヤード版、1986年ジャン・ミイのGF版、1987年の件のモーリアック版、1989年の新プレイヤード版、1992年のジャン・ミイによる新たなGF版を比較検討し、論評をくわえた。