表題番号:2014B-418 日付:2015/04/05
研究課題アジアの観光武術
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 寒川 恒夫
研究成果概要

本課題が取り上げる武術(伝統武術)の観光化変容は、程度の差こそあれアジアのそれぞれの地において認められるものの、中国は進行が最も著しいとみなされる。中国において武術の観光化を促したのは、1978年の鄧小平の改革開放政策とみてよい。より直接的には、2000年の「文化産業発展第十次五年計画綱領」を背景に武術の観光化が始まる。典型は首都北京の紅劇場で上演される「功夫伝奇」である。河南省の宗山少林寺に伝承される少林武術の舞台化で、役者は全員が少林寺武術経験者である。大成功の影響は中国各地の伝統武術を観光化に導く。こうした現象の前提に、香港発武術の映画観光化を認めうる。他方、日本の場合、明治時代以降に形成された武道が、その実践の究極的価値を強く儒教的修養に求めたことにより、武術を観覧に供する在り方を異端視し、これが武術の観光化を阻む方向に働いていると考えられる。