表題番号:2014B-099 日付:2015/03/27
研究課題後期社会主義期のエストニア社会と歴史認識に関する実証的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 小森 宏美
研究成果概要
 本特定課題研究は、ソ連期のエストニアに関し、相対的に研究蓄積の少ない後期社会主義期に焦点を合わせ、歴史認識から社会の諸側面を描き出そうとするものである。方法としては、主として同時代の主要な歴史研究を用いて、歴史叙述の中で、ある時代がどのように描かれているかを見ることにより、研究が公表された当時の社会分析を試みた。本研究で対象としたのは1939年~1945年という時代である。独立喪失までの一連の出来事をめぐる評価は、歴史が政治イデオロギーに拘束されていたとされるソ連期の間にも一定ではなかった。
 本研究を行うに当たっては、他の東欧諸国との比較、ならびに現在の歴史認識との比較が不可欠である。その点で、大きな枠組みでは同様の経験をした地域としてくくられる東欧諸国の中でも、現在の社会の中での認識で2つに分けることができる。エストニアを含むバルト三国やポーランドのようにソ連による「占領/支配」を強調する立場をとる国と、終戦時点でのソ連によるナチス・ドイツからの解放の側面を強調するスロヴァキアやハンガリーのような国である。
こうした違いが後期社会主義期にも見られるのか、今後の課題として研究を進めたい。