表題番号:2013B-274 日付:2014/04/10
研究課題入会林野における再生可能エネルギー導入の可能性とその担い手に関する実態的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 平山郁夫記念ボランティアセンター 助教 加藤 基樹
研究成果概要
長野県における森林バイオマスの再生可能エネルギー利用について、全体の概要を長野県林務部、環境部、農政部より聞き取りをおこない、また信州F-POWERプロジェクトについて、塩尻市経済事業部FPプロジェクト推進室の担当者より聞き取りを行った。ここでは、木材加工と木質バイオマス発電の施設整備の概要と地域エネルギー自給率向上と地域の雇用創出の展望について話を聞くことができた。また、森林所有者集団としての松本広域森林組合は、前年の聞き取りにおいて、同事業について関心を示していなかったが、今年度においては、木材供給の中心的な役割を担っていることがわかった。本事業への関心は、木材の出し手である松本広域森林組合の組合員など、林野の所有者がどのような意思決定を行い、地域経済に影響を与えたか、また、地域金融の点からのこの事業をどのように評価できるか、という点にある。既存のバイオマス発電、とくに、木質バイオマス発電の先行研究の精査からも、木材の出し手と地域金融の側面が抜け落ちていることが確認できたために、これを研究の核として科研費の基盤研究(C)に応募した。
また、熊本県、鹿児島県の調査では、九州地方におけるバイオマスタウン構想、とくに、木質バイオマスの取り組みについて聞き取りを行った。バイオマスタウンについては、熊本県と鹿児島県で26市町村が公表しているが、ここでは、木質バイオマス発電よりも畜産バイオマスを中心とした取り組みがなされており、曽於市やJAそお鹿児島の取り組みが先進事例として注目される。
さらに、林産物や畜産加工品による地域活性化と対比するために、水産物、農産物とその加工品の直売について、天草市の道の駅で調査を行った。ここでは施設の希望は比較的小さいが、水産物のためにいけすを設置し、みかん、いちご、野菜などの農産物とともに販売している実態をみることができた。
なお、上記の長野県調査、および、宮城県気仙沼における「木質バイオマス発電事業」の別調査は、摂南大学経済学部植杉准教授、および、植杉ゼミ生と一緒に行い、植杉准教授とは数回の研究会を行った。