表題番号:2013B-269 日付:2014/04/09
研究課題生徒と保護者との協働による情報倫理教育教材の研究開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 八百幸 大
研究成果概要
近年は学校における情報教育では限界があり、家庭での、あるいは学校と家庭と連携した情報教育の重要性が叫ばれている。しかし、上記の結果より家庭での情報教育については、保護者がそのベースとなる知識に自信がない場合が多いため、学校が生徒だけでなく保護者に対してもその理解を導くことが重要であり、その取り組みもリーフレットの配布、講演会、ドラマ教材の視聴と話し合いなど多くなされている。ただし、これらの取り組みに参加するのは意識が高い保護者が多く、そのような家庭では普段から情報モラルに関する教育が行われていると考えられる。逆に、情報モラルについてそれほど意識が高くない家庭をターゲットにする必要がある。
これとは別に、自発的かつ能動的な学習を生徒に促すため、本校情報科の授業ではCourseN@viを用いたグループ学習を実施している。そこで、情報モラルをテーマとした回において、保護者へのインタビュー結果を持ち寄り、議論した結果を保護者にフィードバックするカリキュラムを考案した。ただし、本年度は既に授業で取り扱うテーマが決定していたため、このカリキュラムは来年度以降実施することとした。
また、保護者の情報モラルに対する関心の変化を調査するため、担当クラス内の高校1年生の保護者に対して、家庭内の情報環境、保護者自身のインターネット利用、家庭内でのインターネット利用に関する教育についてアンケートを実施した。その結果として、下記のようなことが分かった。
まず、家庭内において子供に対してインターネット利用の説明をするのは父親が約80%、母親が約40%であった。ただし、実際に情報モラルを教えることについて自信があるかどうかについては「自信がない」と回答した割合が約66%であった。
また、保護者が情報モラルについて知りたいことについて自由記述で回答してもらったところ、その多くはLINE,Twitter,FacebookなどのSNSについてであった。ただし、この設問に関しては回答率そのものが低かった。
これらの結果から、家庭内ではインターネット利用に関するモラルについて子供に対して説明することの必要性を感じているものの、特にSNSなど保護者があまり利用することがなく、逆に子供たちがよく利用しているインターネット上のサービスについての知識が不足している様子を見ることができた。
この調査は、保護者の情報モラルに関する興味などを知り、教材・カリキュラムの開発を進めるために継続して実施する。