表題番号:2013B-261 日付:2014/04/11
研究課題デジタルセンサーを活用したインタラクティブな授業プランの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 小川 慎二郎
研究成果概要
【概要】本研究では、学習者が物理概念の獲得を着実に行うために必要な要素を挙げ、それを具体化する授業プランの構築を試みた。
【背景】物理概念の獲得には「インタラクティブな授業であること」「リアルタイムに結果が分かる実験を伴うこと」「繰り返し測定することが可能であること」「物理概念を使った活発な議論が起こるような問いを設定すること」の4つの要素が重要であることが先行研究の調査により分かった。そこで、短い1回の授業時間の中でこれらを可能にするためには、何度も繰り返して実験を行うことのできるデジタルセンサーを利用することが必要不可欠であることが示唆された。
【方法】本研究は、他高校の協力も得て、他高校物理教員への研究発表などを通して進めた。様々な議論をすることで、演示実験における効果的な発問の作り方について研究を深めることが可能となった。また、中学1年から高校3年までの中の一部の生徒を対象に模擬授業を行うことで、生徒の理解度の変化や、学年による概念認識の違いについて、分析することができた。
【成果】本研究では、デジタルセンサー(超音波距離センサー)を利用して、力学分野の「速度」「加速度」の概念を導入する演示実験の方法を開発した。その実験を進める中で、これまでの研究で知られている誤概念のパターンを元に、速度や加速度の正負についての効果的な一連の発問を作ることができた。
また、生徒の理解度について、理解力の差のある生徒同士のディスカッションによって向上が見られることが示唆された。物理が既習であっても、学習前から持つ誤概念の解消には大きな困難があり、演示実験を用いた授業では限界があることも判明した。
【課題】今回は演示実験を利用した力学分野の「速度」「加速度」の概念を学ぶ授業プランについて集中して研究したが、今後は力学の他分野や、波動、電磁気学等の分野にも広げて引き続き研究を進めていく必要がある。また、演示実験だけでなく、学生が直接行う実験
今回は時間の都合上、授業前後の概念獲得の調査を行って評価することができなかった。今後の研究においてそのような評価方法についてもさらに研究していきたい。