表題番号:2013B-259 日付:2014/03/26
研究課題デジタル化された地形図の幾何学的性質に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 穴田 浩一
研究成果概要
 3次元空間における滑らかな曲面には勾配・法線・接平面・曲率などのようなさまざまな幾何的情報が内在している。それらの情報は曲面の特徴を数学的に考察するとき大きな役割を果たす。一方、近年のGIS関連技術の発達によって、地図を3次元表示した場合、デジタル化された情報を利用して見た目には現実のものとほとんど同じ様に見える表示が可能になっているが、実際には必ずしもその幾何的性質がコンピュータ上で再現されているとは限らない。例えば、地図のデータは膨大なため、デジタル画像の圧縮が使われるが、そういった技術開発や研究の多くは「如何に元の画像と見た目の変化を少なくしながら情報を圧縮できるか」という点が強調されることはあっても、元の図とどの程度変わらないかという点について数学的に考察しているものは多くない。また、CG関連技術では、スムージングに使われているベジエ曲線やスプライン曲線を用いる技法も、元々の滑らかな曲面の幾何学的性質を必ずしも正確に再現している訳ではない。そこで、本研究課題は「デジタル化されたものから元々の地形の幾何学的性質を出来るだけ正確に得ること」について考察を行うことを目的としていた。

 具体的には、2012年度の奨励研究に採択された研究課題(研究課題番号 24913001・配分額300千円)の成果である「その標高データから、地形図の幾何的性質として典型的な尾根や谷を抽出する方法の考察」と「元々持っている幾何的性質を保持したままデータ量を減少させる方法の考察」を踏まえ、地形図上のメッシュの各々に与えられた標高値から様々な性質を効率よく抽出するために必要な事柄について研究を行った。

 その研究の過程で、様々な幾何学的な性質を効率よく抽出するためには、事前に与えられたメッシュ状のデジタル地形図を各メッシュの中心や境界に頂点を持つ三角形に細かく分割し、その方法で得られた三角形分割されたデジタル地形図を用いて様々な性質の抽出を行う方が効率がよい、との考えに至った。

 さらに、様々な性質の抽出に適した三角形分割の具体的な方法とそれに基づくデータの構造などに関する考察を行い、その成果は2014年3月に行われた情報処理学会の全国大会で発表を行った。