表題番号:2013B-232 日付:2014/04/02
研究課題競技スポーツ選手の体幹深部筋機能の解明 -腰部障害予防と運動機能向上に向けて-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 金岡 恒治
研究成果概要
体幹深部筋機能を向上させることで競技力の向上が期待される。そのため最も有効で実践的な体幹深部筋トレーニングの方法やトレーニング用具を開発することを目的として2013年度は研究を行ってきた。ジャンプ動作の前に体幹深部筋トレーニングを行うことでジャンプ力が向上すると報告されているが、トレーニングの最適な量や、実施する時期は明らかにされていない。そのためトレーニング量を変化させた際の効果の違い、トレーニング実施後の経過時間による効果の違いを検討するため以下の実験を行った。
実験①トレーニング量と効果の検証:大学ラグビー選手30名を対象に、体幹深部筋トレーニング介入前後の垂直跳び到達高を計測し比較解析した。対象者を、一種目90秒合計360秒実施する群、45秒間合計180秒実施する群、介入しないコントロール群に分けて比較した。その結果、45秒群の跳躍高増加率はコントロールと比べて有意な増加を認めなかったのに対して、90秒群はコントロール群に比して有意に増加した。このことからトレーニング量は効果に影響を及ぼすことが明らかにされた。
実験②トレーニング後の効果の持続時間の検証:競泳選手19名を対象に、トレーニング介入前後の蹴伸び(水中で壁を蹴って進む基本動作)の速度、最大到達距離を計測し、トレーニング後の時間経過による変化を解析した。体幹深部筋トレーニングは、Back Bridge、Side Bridgeドローイン、Prone Bridge(エルボーニー+手挙げ、エルボーニ―+脚挙げ)の5種目とした。各種目60秒、合計300秒実施した。蹴伸び試技の計測は、介入前、介入直後、15分後、30分後に行った。到達距離は指先の到達位置を目視で測定した。またハイスピードカメラを水中の2.5mと7.5m地点に設置し、被験者の右側から蹴伸び動作を撮影した。解析はImage Jを使用し、撮像した画像から座標を算出し、2.5m~7.5mの5m間の平均速度を算出した。また2.5mから前後10ms、計20msからそれぞれの瞬間速度を算出した。結果として、当初の予想に反して介入直後、15分後、30分後のいずれにおいても介入前と比べて、蹴伸びの速度、到達距離ともに有意な増加を認めなかった。今回の被験者は大学一流競泳選手であり、通常より体幹深部筋のトレーニングを行ってきていたため介入による変化を認めなかったことが考えられる。今後はより詳細な条件設定を行い効果を検証していく。