表題番号:2013B-206 日付:2014/04/11
研究課題音声対話システム発話の音声言語的特徴制御によるインタラクション欲求向上
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 菊池 英明
研究成果概要
音声対話システムのシステム発話を制御することによってユーザに与える印象を変化させる技術の開発を目指している。本特定課題研究では、擬人化したシステムの自己開示によってパーソナリティを付与する手法に関する基礎研究を中心に進めた。実験を通じて、自己開示量と内容によって特定のパーソナリティを付与できることを確認した。この成果は、ヒューマンインタフェース学会論文誌に査読論文として掲載された(「自己開示による音声対話エージェントへのパーソナリティ付与」)。他にも、マイクロブログからユーモア発話を自動生成する技術(「非タスク指向対話システムにおけるマイクロブログを用いたユーモア発話の自動生成」)、発話速度あるいは無音区間長を制御する手法(「ロボット発話の話速・無音区間長の制御によるパーソナリティ認知と対話継続欲求の向上」)を検討し、それぞれによってユーザがシステムに抱く印象がどのように変化するかを実験により調査した。いずれも国内学会にて成果を発表した。ユーザ発話における音声のプロソディを解析することによってユーザの心的状態を推定して、それに応じてシステムの振舞を変えることによってユーザが抱く愛着感を変化させられることを実験により確認し、この成果を国際会議にて発表した(「Effects of an Agent Feature Comprehension on the Emotional Attachment of Users」)。いずれの研究においても、ユーザが抱く印象を変化させるこれらの手法によって、音声対話システムに対するインタラクション継続欲求が向上することを確認している。このことを一旦整理して国内学会にて発表した(「音声対話システムに対するインタラクション継続欲求」)。こうした一連の研究成果を体系化してさらに幅広く応用可能な技術を開発するために、インタラクション継続欲求とユーザ印象空間の関係を明確にする必要性が生じている。そこで最終的に、本特定課題研究を経て、2014年度科学研究費の基盤(C)に「音声対話システムに対するインタラクション欲求向上のためのユーザ印象空間の推定」というテーマを申請して採択された。