表題番号:2013B-202 日付:2014/03/01
研究課題ライフスタイルと技術変化に着目した産業連関データの作成と時点間波及効果の可視化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 教授 鷲津 明由
研究成果概要
本研究の目的は,「再生可能エネルギーとスマートグリッド分析用産業連関表の開発と応用分析」研究の一環として,Home Energy Management System (HEMS)の消費者の利用意向に関するアンケート調査を実施し,その分析結果を報告することである。
HEMSは,家庭内の家電機器のほか,太陽電池,燃料電池,蓄電池(蓄電池として電気自動車のバッテリーが利用できる)をITネットワークで結ぶことにより,家庭内のエネルギー消費を見える化するとともに,家庭の光熱費の節約を可能にするための設備である。さらに将来的には,スマートグリッドの重要な構成要素として,太陽光発電の出力変動を緩和したり,ピークシフトに協力したりして,系統電力の安定化ばかりでなく国全体のエネルギー効率の向上に寄与していくことが期待されている。
スマートグリッドとは,「電力網と情報網の高度融合ネットワーク」のことである。すなわち,電力システム全体として1次エネルギー消費量やCO2排出量を最小化できるように,電力の需要側と供給側の機器を,双方向通信を通じて最適に制御しようとする巨大な管理システムのことである。家庭の電力需要行動(ひいては消費者のライフスタイル)をこのネットワークに接続する役割を果たすのがHEMSである。現在,HEMSの実用化に向けて,通信プロトコルの標準化,実際の運用方法を構築するための実証実験など,技術開発研究が進められている。
しかし,優れたHEMS機器が開発されたとしても,実際にそれがどの程度電力ネットワークに組み込まれていくかは,一般消費者のHEMSに対する受容可能性に依存する。そこで,この受容可能性はどの程度と見込まれるのか,もしその見込みが望ましい電力ネットワークを構築するには不足している場合には,どのような普及促進策が有効と考えられるかを考察することが重要である。そこで,どのような消費者がどの程度,現在HEMSを認知しているか,将来的な利用意志はどうか,また,HEMSを利用した新しいサービスが加わった時その利用意志は変化しそうかを探るために,インターネットを利用したアンケート調査を実施した。