表題番号:2013B-197 日付:2014/04/11
研究課題保温保冷材下における外面腐食の検査箇所選択支援システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 立野 繁之
研究成果概要
 現在の石油・化学プラントは老朽化が進んでいるため、プラント内の配管の外面や屋外貯蔵タンクの外面・底板の腐食はかなり進行している場合があり、それらが原因で重大な事故や莫大な損失を生む可能性がある。そこで、配管周りの環境情報を利用し断熱材下で腐食が進行している詳細検査すべき箇所の選定を支援するシステムの開発を行っている。このシステムでは与えられたデータベースも用いて調査箇所の選定を行うため、選定箇所の的中率の精度を高めるためには、データベースの拡充が必要不可欠である。そのため、今年度は配管・タンクの壁面の腐食状態を検査する方法とそのデータの収集法を検討した。
 配管やタンクの腐食状態を検査する方法として、比較的検査時間とコストが低くプラント運用中であっても検査ができるAE(アコースティックエミッション)診断法に着目した。AE診断を効率的に行うために、無線デバイスを搭載することにより複数箇所の計測データを長時間連続で取得し、腐食位置を正確に特定する技術と計測データの収集作業を効率化するシステムの開発を検討した。
 この無線デバイスの選定および通信性能・適用性を検証するために、共同研究として行っていた小型電気自動車の自律隊列走行のための車車間通信システムの開発を行った。無線デバイスとしてはワイヤレスセンサーネットワーク規格の一つであるZigBeeを使用し、近距離間での通信性能を調べた。
 さらに別の適用事例として、消防局のレスキュー隊の救助活動中における隊員の位置把握を目的とした遠隔監視システムのプロトタイプを作成した。実際の作業現場で通信実験を行ったところ、リレー式に複数の無線デバイスを経由することによって約1km離れた箇所のデータをほぼリアルタイムに取得できた。
 これらの実証実験の結果から、ZigBee ワイヤレスセンサーネットワークがプラント内のAE診断計測システムへの適用に有効である可能が高いことが分かった。今度はAEセンサーをZigBee無線デバイスに融合し、プラント内での実験を行うことを検討している。