表題番号:2013B-183 日付:2014/04/01
研究課題ISSにおける高エネルギー宇宙線・γ線観測による暗黒物質・近傍加速源の探索・解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 鳥居 祥二
(連携研究者) 理工学総合研究センター 講師(任期付) 浅岡陽一
(連携研究者) 重点領域研究機構 講師(任期付) 小澤俊介
研究成果概要
 宇宙物理学の未解明問題である宇宙線加速源や暗黒物質の解明を行うことを目的として、ステーション(ISS)の日本実験棟(きぼう)で2014年度より観測を開始する予定の高エネルギー宇宙電子線観測装置(CALET: CALorimetric Electron Telescope) のデータ解析センターの構築を実施している。CALETが目的としている宇宙線の研究は、粒子の生成・消滅という素粒子・原子核物理学と,粒子の加速・伝播という宇宙物理学の2つの視点から行われている. 宇宙の構造や個々の天体現象の総合的理解のためには,可視光,赤外,X線などの電磁波の観測に加えて,宇宙線や高エネルギーガンマ線の観測による,素粒子的宇宙像と天文学的宇宙像の双方の解明が不可欠である.しかしながら,これらの観測は,測定技術上の困難さにより未開拓な領域であり,これらの高エネルギー粒子の起源は宇宙科学に残されたフロンティアの一つとなっている. 特に数100 ギガ電子ボルト(GeV)以上の電子やガンマ線は直接観測が難しく,今後に新発見を含む飛躍的な観測の成果が期待されている. CALETプロジェクトでは,高エネルギー電子・ガンマ線に加えて,陽子・原子核成分,太陽変調を受けた電子,及びガンマ線トランジェントの観測を行い,惑星間空間から銀河系外にいたる全宇宙の領域で,いわば「宇宙線天文台」として高エネルギー宇宙現象の解明を目的としている.
本研究の成果として、理工学研究所に設置する早稲田大学CALETオペレーションセンター(WCOC:Waseda CALET Operations Center) において, ISSから筑波宇宙センターを経由してほぼリアルタイムで送信される観測データのモニター及びデータ解析のために不可欠なデータ記録システムとデータ表示システムの製作を実施した。この結果、ハード的にはWCOCの構築はほぼ終了し、今後に筑波宇宙センターとのデータ及びコマンドの送受信システムの構築、及び国際研究チームによるデータ解析ソフトの開発を実施してCALETの軌道上観測に備える予定である。