表題番号:2013B-167 日付:2014/04/11
研究課題精神神経疾患の診断と病態解明を目指したバイオセンサの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 朝日 透
研究成果概要
特定課題B「精神神経疾患の診断と病態解明を目指したバイオセンサの開発」では、FETバイオセンサを用いて、センサ検出部に修飾されている有機薄膜とAmyloid ßタンパク質(Amyloid ß protein; Aβ)との相互作用に基づいた検出機構について、先端電位変化検出手法を用いて解明する事を目的として研究を行った。さらに、精神神経疾患の診断へ応用できるバイオセンサの実用化目指すとともに、確立したバイオセンサを用いて、精神神経疾患モデル神経細胞や患者サンプルでのアミロイドß蛋白の分泌量を測定し、病態を解明することを目指して研究を行った。本研究では、クロスβ構造を有するアミロイド凝集体と特異的な相互作用を示すコンゴーレッドでゲート表面を修飾したFETによるAβ(1-42)凝集体の検出を試みた。Aβ(1-42)の検出はFET特性(ゲート電圧-ドレイン電流特性)の閾値電圧シフトとして評価した。Aβ(1-42)のモノマーを数日インキュベートして得た試料では、凝集体を形成した場合にのみFET応答が観測された。また、Aβ(1-42)とその亜種であるAβ(1-40)に対する応答を比較したところ、Aβ(1-42)検出が可能なインキュベート日数であっても、凝集能の低いAβ(1-40)にはFET応答は観測されず、コンゴーレッド修飾FETのAβ凝集体への特異的な応答が示唆された。本研究成果は今年2月にChemical Communications に掲載され、日本経済新聞にも取り上げられた。

参考文献
Hideshima, S., Kobayashi, M., Wada, T., Kuroiwa, S., Nakanishi, T., Sawamura, N., Asahi T., Osaka, T.A label-free electrical assay of fibrous amyloid β based on semiconductor biosensing. Chemical Communications 50, 3476-3479 (2014)

2014.3.25日本経済新聞夕刊 014ページ 「アルツハイマー病の原因物質,短時間で検出 早大が開発」