表題番号:2013B-163 日付:2014/03/24
研究課題週間リズムの視点での運動科学・栄養科学
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 柴田 重信
研究成果概要
食事・栄養と体内時計の関係を調べる学問を時間栄養学と称している。ところで、ヒトは1週間を単位として生活している。つまり、平日と週末という考え方、5日と2日の組み合わせによる行動とも捉えられる。このようリズムを週間リズムと呼ぶことにする。最近研究では平日と週末で睡眠時間の差が大きいほど、つまり、週末に寝だめする傾向の人は肥満症状を呈しやすいこと、また大学生を対象とした研究では成績が振るわないことがわかってきた。このように週間リズムの不調は社会的な時差ボケ状態になることが予想される。今回、マウスでこのようなモデルを作成した。高脂肪食を与える実験を行った。5日高脂肪食+2日普通食、2日高脂肪食+5日普通食、7日高脂肪食、7日普通食とした。その結果、5日高脂肪+2日普通食群では摂食パターンや体重変化に顕著な影響が見られた。5日の高脂肪食時には体重が増加し、次の2日の普通食日には摂食低下と体重減少が認められ、次の月曜日にリバンドの摂食増大が見られた。したがって、体重変化は7日高脂肪食群と差が見られなかった。次に自発的な輪回し運動において、7日運動なし、5日運動+2日なし、2日運動+5日なし、および7日なしの4群を作製した。高脂肪食による肥満に対して運動の抑制効果は弱かった。次に、先に認められた、5日高脂肪食+2日普通食のグループで、5日の高脂肪食時にのみ、輪回し運動を組み合わせる実験を行った。すなわち、運動の高肥満効果が期待できることと、運動が摂食抑制を引き起こす可能性が考えられた。高脂肪食と運動の組み合わせは、リバンド性の体重増加を顕著に抑制したが、摂食そのものリバンドは抑制できなかった。以上、食事性の週間リズム形成はマウスの系でも可能であること、また、週間リズムにはリバンド性の影響が強く出ることがわかった。運動はリバンド性の食欲は抑制できなかったが、体重増加は抑制できたので、ヒトの食生活改善に部分的役立つ知見であると考えられた。