表題番号:2013B-162 日付:2014/03/24
研究課題食欲と脂肪蓄積の時間栄養学的アプローチ研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 柴田 重信
研究成果概要
脂肪代謝の時間栄養学的研究ということで、まず、脂肪の血中動態を指標に、時間栄養学的な研究を、次に特定の脂肪酸を含有する脂肪が体内時計の位相に形成に影響する可能性について調べた。脂質としては、DHA,EPAの含量が高い魚油、脂肪の吸収が速やかで燃焼効果が高いとされている中鎖脂肪酸の脂質、およびラードをそれぞれ0.1ml経口投与した。投与時刻のタイミングは、マウスにとっての朝、昼、夕、夜中とした。また投与後、0.5,  1, 1.5, および3時間後に血中の脂肪量を測定した。その結果、中鎖脂肪酸の中性脂肪(TG)は投与後いずれの時間でも血中濃度は低いままであった。また、投与タイミングでも、中鎖脂肪酸のTGはいずれの時刻でも血中濃度が大きく変動することはなかった。一方で、ラードの投与群は、1時間後をピークとするカーブが得られた。時間軸に対する中濃度下面積(AUC)を求めると、投与タイミングで大きく異なっていた。夜中から朝にかけてのラードの投与はAUCを大きくはしなかった。一方、昼、夕方投与は、AUCの値が大きくなることがわかった。この違いは、体内時計影響を強く受けていることに起因すると考えられる。夜中や朝は、マウスの摂食活動は低いところであるので、摂食した脂肪はエネルギーとして優先的に使われ、そのために血中のTGは低かったものと考えられる。一方、昼や夕方はマウスの摂食行動は盛んな時期なので、追加で投与した脂肪は使われないために血中に多く残った可能性が考えられる。また、魚油のAUC変化はラードと類似していることがわかった。以上のことをヒトの食生活あてはめて考察すると、朝食時の脂質は代謝される可能性があり、肥満になりにくいが、夕食時の脂質は代謝されにくく、脂肪蓄積回され、肥満を助長する可能性が示唆された。次にDHAとEPAを多く含む魚油の体内時計促進効果について調べた。その結果、大豆油に比較して魚油は体内時計のリセット効果が強いことがわかった。また、この作用にはGLP-1の分泌促進が関わっている可能性が示唆された。