表題番号:2013B-139
日付:2014/04/10
研究課題非線形発展方程式とその関連分野の総合的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 大谷 光春 |
- 研究成果概要
- 研究目的にかかげた目標に関連する次の幾つかの興味ある成果が得られた.
(1) 海洋学で扱われているモデルの一つである,流体(水)の速度及び温度と流体中の溶質(塩)の濃度の振舞いを記述する二重拡散方程式系(非線形項を持つBrinkman-Forchheimer 方程式(ストークス方程式の変形方程式)と移流項をもつ放物型方程式との混合方程式系)の初期値境界値問題に対して,従来の有界領域に於ける一意可解性が(非有界)一般領域においても成立することが示された.さらに,従来の結果では空間次元 N が3以下という仮定が必要であったが,N が4以下という条件に緩和された.
また,温度と溶質の腕の初期値に対する仮定も弱められた.従来の証明法はシャウダー型の不動点定理によるものであったが,今回の改良は,バナッハの縮少写像の原理の応用と劣微分作用素に対する非単調摂動理論の精密化によって可能になった.(大谷・内田俊(D1))
(2) 非斉次ディリクレ型境界条件下の,強い消散性非線形項を持つFast Diffusion 方程式に対して,主要項の非線形性が消散項のそれより強い場合には,解が有限時間で定常解に接するという興味深い現象(Dead Core 現象)が現れることが,空間1次元の場合に知られていた.主要項と消散項の非線形性の強さが逆転する場合にも同様の現象が起こるかどうかは未解決の問題として残されていが,これを否定的に解決した.すなわち,解は有限時間では定常解に接することはなく,無限時間をかけて指数関数的に定常解に漸近することが,一般の空間次元に対して示された.(大谷・桑垣 樹(B4))
(3) 複素Ginzburg-Landau 方程式を,劣微分作用素に対する単調及び非単調摂動理論により解析する手法を開発した.これにより,解の平滑化現象の導出が簡便になり,従来知られていた一意的大域解の存在のための十分条件を大幅に緩めることに成功した.(大谷・清水 翔司(B4))