表題番号:2013B-133 日付:2014/03/02
研究課題バイオマスエタノールの直接水蒸気改質による水素製造のための高性能触媒の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 関根 泰
研究成果概要
我々はこれまで、バイオマスエタノールの水蒸気改質用触媒として高活性であるCo触媒において、微量の鉄を表面に修飾することによるacetate種吸着の安定化が、副生成物の抑制や活性に効果的であることを見出した。今年度さらに、アルカリ金属を加えることで副生成物の抑制が可能であることを見出した。具体的には、Co/K/α-Al2O3が優れた性能を示すことを見出し、K添加量の変化によって活性にどのような影響を及ぼすかを検討するため、Kを0.3~3.0 wt%となるように担持したCo/K/α-Al2O3の活性試験を比較した。K添加量を増加させると転化率、水素収率が1.0~2.0 wt%程度で最大となった。またK添加量の増加に伴って析出炭素量が低下した。これは、エタノールまたは中間体の吸着状態がK添加によって変化したためではないかと考え、IR測定を行い、各温度での表面吸着種について検討した。その結果、323 Kでエタノールを吸着させるとethoxide種として吸着し、温度を上げるとacetate種に変化することがわかった。温度を上げていくと、Co/α-Al2O3では723 Kでピークが消失しているのに対してCo/K/α-Al2O3では高温でもピークが残存する結果となった。K添加によってacetate種の吸着種が水の存在下でも安定化されることがわかった。Kを添加したCo/K/α-Al2O3では、Co/α-Al2O3と比較してacetate種が高温でも残存し、安定化されたことにより分解によるCH4の生成が抑制された。水の存在下でもCo/K/α-Al2O3ではacetate種が高温において安定化され、水蒸気雰囲気においてもacetate種の安定性が高い活性に寄与していた。これらから、安価なKを微量、コバルト触媒に添加することによって高性能なバイオマスエタノールからの水素製造触媒とすることが出来ることを見出した。