表題番号:2013B-123 日付:2014/04/25
研究課題人体シミュレータとしてのヒューマノイド利用に関する学理の構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 高西 淳夫
(連携研究者) 理工学術院 教授 菅野 重樹
(連携研究者) 理工学術院 教授 藤江 正克
研究成果概要
本研究では,ヒトの脳機能や運動機能の理解および福祉機器等の定量的評価において使用するための人体シミュレータとしてのヒューマノイドの開発と,その使用についての学理の構築を目的としている.具体的には,ヒューマノイドの開発と実験によるその機能検証に取り組んだ.平成25年度は,2足歩行ロボットWABIAN-2Rおよび全身型患者シミュレータの開発に取り組んだ.
WABIAN-2Rにおいては,より人間らしい歩行動作の実現を目指して,爪先の役割に注目して研究を行った.まず,ヒトの整地歩行,階段歩行,段差乗り越え,段差跨ぎ越えなどの計測を行い,ヒトは階段歩行や段差乗り越え,跨ぎ越えの際,積極的に爪先を使用しているとの知見を得た.そこで,同様の動作をWABIAN-2Rで実現すべく,新たな制御アルゴリズムを考案した.このアルゴリズムによってWABIAN-2Rは,爪先を活用してより高い段差の乗り越えが可能となった.今後,構築したアルゴリズムの妥当性の検証に取り組む.
全身型患者シミュレータにおいては,ヒトの関節の柔らかさを再現する機構の開発を行った.モータとクラッチの組み合わせによって,上腕筋の緊張と弛緩,およびそれらの異常を再現可能な肘関節ロボットを開発した.また,開発したロボットを使用した福祉器具の評価方法について検討を行った.その結果,ハードウェアの設計思想に応じて評価可能な器具が変化することが明らかとなった.今後,設計思想と評価可能な機器の関係を体系的に整理し,学理として構築していく.
上記の開発に加えて,ロボットを用いた人間理解の取り組みを進めているイタリアの聖アンナ大学院大学と技術交流を行った.ポスドクおよび学生を派遣し,当方の技術の紹介と先方の技術の本学への導入を進めた.これにより,本学および聖アンナ大学院大学の双方で進めている人間理解のためのロボティクスの学理の構築が加速されると期待される.