表題番号:2013B-118 日付:2014/04/29
研究課題物流量の不確実性を考慮した工場レイアウトのロバスト最適化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 大森 峻一
研究成果概要
本年度は、物流量の不確実性を考慮した工場レイアウトに対するロバスト最適化の前段階として、需要量の不確実性を考慮したマテリアルネットワークフロー設計問題の定式化とアルゴリズム開発を行った。以下(1)~(3)にその詳細をまとめた。

(1)不確実の発生状況についての調査
開発すべき数理的技法の要件定義,及びロバスト最適化問題のモデル化,解法の検討を行った。要件定義については生産現場における運搬/物流量のばらつきの範囲やその影響の大きさ,及びそれらに対する対応策の実態について文献調査・及び、ヒアリングを行った。その結果、以下の①~⑤の知見を得た。

①需要の不確実性は大きく、また予測困難である。
②需要のみならず、製品価格、またユーティリティコストについても燃料価格の変動に伴う変動が大きい。
③需要量と製品価格には負の相関がみられる
④ユーティリティコスト同士は正の相関がみられる。(理由:燃料価格に依存するため)
⑤入力情報の変動に対応するにはレイアウトのロバストネスだけではなく、各アクティビティのキャパシティから考慮しなければならない。

以上①~⑤の実態調査により、物流量の不確実性を考慮した工場レイアウトに対するロバスト最適化の前段階として、需要量の不確実性を考慮したマテリアルネットワークフロー設計問題を対象とする事にした。

(2)定式化
実態分析を踏まえ,開発すべき数理的技法の骨子・範囲を明確にしたうえ、マテリアルフロー設計問題として定式化を行った。パラメータ間の相関関係を扱える楕円体型の変動範囲を仮定した。目的関数としては最悪ケースを考えた場合の利益の最大化であり、SOCP(Second-Order Cone Programming)として定式化を行った。

(3)アルゴリズム開発
以上の基礎的な設計を基に,マテリアルフロー設計問題に対するロバスト最適化の技法を実装しテスト・修正を繰り返した.この際,早稲田大学大学院博士課程の学生の実験協力を受けるため人件費を用いた。開発したアルゴリズムをIIEの国際学会にて発表し専門家の意見を仰いだ。

(4)今後の課題
今回開発したマテリアルフロー設計問題と施設レイアウト問題の間には、相互の意思決定が影響を及ぼしあうため、両者を同時に扱うのが非常に難しい問題となる。この点をうまく結合させる必要がある。また、実データを用いた検証も合わせて行いたいと考えている。