表題番号:2013B-108 日付:2014/04/01
研究課題自律的生存単位としての「千年村」研究とその存続のための方法開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 中谷 礼仁
研究成果概要
本研究は、千年以上にわたり、度重なる自然的社会的災害・変化を乗り越えて、生産と生活が持続的に営まれてきた地域を〈千年村〉と称し、その収集、公開、顕彰、研究、交流のためのプラットフォームとして構想され、今後の集落一般の存続へ向けた指針の提供を目指すものである。本助成交付期間(2013年度)は、研究基盤・研究組織の構築と伊豆大島緊急災害に対し、今後の復旧まちづくりへの提言を目的とした実地調査を実施した。
これらの成果を以下にまとめ報告としたい。

①研究組織体制および研究目的・意義の設定
本研究は、2012年度まで木下剛研究室(千葉大学・造園学)、石川初(ランドスケープデザイン)、福島加津也(建築家)、大高隆(写真家)、元永二朗(ウェブデザイン)との共同研究であった。2013年度からは、清水重敦研究室(京都工芸繊維大学・建築/都市史)、上杉和央(京都府立大学・歴史地理学)、菊地暁(京都大学・民俗学)、佐々木葉(早稲田大学・景観工学)、林憲吾(総合地球環境学研究所、建築/都市史)、御船達雄(民家史)を加え、共同研究体制を敷いた。
2013年10月11-12日にかけて、京都工芸繊維大学にて、中谷礼仁、木下剛、清水重敦、菊地暁および早稲田大学、千葉大学、京都工芸繊維大学学生による研究会議を実施した。これまでの活動成果から研究目的を明瞭化し、既往制度との棲み分けや社会的な意義について討議を行なった。本助成の一部はこの打ち合わせに関わる旅費(交通費、宿泊費、現地でのレンタカー費)に充てた。

②『和名類聚抄』を用いた〈千年村〉データベースの作成および地図上へのプロット
全国〈千年村〉収集の基礎作業として、平安期文献『和名類聚抄』記載の古代地名およびその現在地への比定作業を参照し、千年前に集落が存在した可能性のある地域のデータベースを作成した。また、古代地名に比定される現在地の内、大字領域に比定されるものを地図上にプロットした。本助成の一部はこのデータベース作成費に充てた。

③土石流災害に伴う伊豆大島元町地区緊急調査と復旧町づくりへの提言
2013年10月16日、台風26号により元町地区へ土石流災害が発生した。それに際して、当該地区の被災状況調査を実施した。地形に即した家屋配置や石垣などの伝統的集落構成が土石流を減衰させた可能性があることを指摘し、これらを生かした復旧まちづくりへの提言を行なった。成果は大島町役場へ提出し、今後も参与していく予定である。本助成の一部は調査費(交通費、宿泊費)に充てた。

②、③については、本研究プロジェクトのウェブサイト『千年村プロジェクト』(mille-vill.org)にて、2014/4/2より公開を予定している。