表題番号:2013B-107 日付:2014/04/26
研究課題歴史遺構の持続可能な修復・再生に依拠したまちづくり手法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 入江 正之
研究成果概要
継続している研究主題に沿ってスペイン、カタルーニャ州タラゴナ県バンデジョス・イ・ロスピタレット・デル・インファント市のファッチェス離村集落にある伝統的石造民家マジアの崩落過程の残存建築遺構の敷地において、修復・再生の作業をワークショップ形式で現地にて行った。これはファッチェス離村集落最北部に位置するA棟A-3住戸部に当たり、一昨年度に集落コミュニティの場の形成のためのベンチ的台座を制作したことに引き続くものである。
 作業は当該指導教授、研究分担者の建築家、専任助手、修士課程院生4名(内留学中院生2名)、バルセロナ建築大学の学生2名、現地左官職1名、コーディネイター2名(内現地語通訳1名)の12名で行った。修復・再生の平面計画に従って、マジア集落におけるeraにあたる部分、オリジナルにはcorral(家畜場)に宛がわれた位置に将来の壁体となる足元部分の石積み作業を充当した。現地左官職の指導により、崩落壁から石を調達し、水(雨水)、粘土、セメント、石灰の順に調合し、再度砂を混入して調合して作るアルガマサ(argamasa)を使用し、石を接合して擁壁を積み上げる。その折に使用する道具類の確認も同時に行った。擁壁の仕上げ量、時間量、人工計算、材料の使用量、左官職の熟練度による工程の進捗度などを、量的、質的に改めて確認し、映像記録に残し、今後の研究に生かせるようまとめた。初日は半日、二日目は一日、三日目は一日の時間を費やした。 マジアに関する文献研究のための資料収集のための拠点を、カタルーニャ州バルセロナのカタルーニャ探訪者センター(CEC)、およびバルセロナ建築大学にしている。CECでは保管されているカタルーニャ州のマジアの写真、図面記録データの大部を得ることができた。また、図書類の調査と関連図書のコピーを得ることができたと同時に、当該機関の研究者との打ち合わせも行った。また、カタルーニャ建築家協会書籍部門やしない数か所の専門図書取り扱い店にて、図書の収集を行うことができた。
現在までの作業成果を、バルセロナ建築大学において講演をする予定だったが、担当教授の都合で実現されなかった。