表題番号:2013B-098 日付:2014/03/22
研究課題三次元ナノマイクロデバイス、ナノマイクロセンサ作製の為の新規プロセス技術の創製
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 庄子 習一
(連携研究者) ナノ理工学研究機構 准教授(任期付) 関口 哲志
研究成果概要
本研究では、「三次元ナノマイクロデバイス、ナノマイクロセンサ作製の為の新規プロセス技術の創製」を行い、構築された技術が実際のバイオメディカル分野や化学分野で応用可能かどうかの検証を行った。そのための基盤技術として、マイクロ流体デバイスを用いたマイクロドロップレットの操作技術の確立に主眼をおいた。マイクロドロップレットは、その内部に細胞やバクテリア、ナノ粒子や種々の化学物質等を抱合したままマイクロ流体デバイス内を搬送させることが可能であり、また、任意の位置で融合/破砕/取り出しが可能なため、近年盛んに研究がおこなわれている。当該技術の確立のために必要な要素技術は、マイクロドロップレットの作製技術、融合技術、流しわけ技術であり、これらの技術の確立を中心に検討を行った。従来もこれらの個々の技術を実現可能なデバイスは報告されているが、デバイス作製のためのプロセス技術やデバイス構造が煩雑であり、また、応用の範囲がきわめて限定されているものが大多数である。本研究では、コストを含めていかに簡単にデバイスを製作可能かおよびデバイス構造自体がいかにシンプルかという点に主眼をおいて研究を行った。

まず、自由なサイズのマイクロドロップレットをシンプルなマイクロ流体デバイス構造で作製することを試み、エアバルブのコント
ロールのみでドロップレットのサイズが100倍以上可変可能なデバイスの実現に成功した。(参考文献リスト1)
次に、シンプルなマイクロ流体デバイス構造で複数のドロップレットを融合することを試み、8個までの任意の大きさのドロップ
レットを一度に融合可能なデバイスの実現に成功した。(参考文献リスト2)
さらに、これらのドロップレットを大きさ別に流し分ける技術の確立について、パッシブソーティングという新しい技術を確立し、
柔らかいマイクロドロップレットを外力で破壊することなく、自動でソーティングが可能なデバイスの実現に成功した。(参考文献リスト3)
最後に、上述の技術を用いて実際にゲルドロップレットを作製し、その内部に細胞を一つずづ導入し、ゲルドロップレットに細胞が入ったままで培養することを試み、これに成功した。(参考文献リスト4)

以上のように、本研究ではマイクロ流体デバイス内でのマイクロドロップレットの操作技術に関して、従来は実現されていなかったシンプルなデバイス構造での作製技術、融合技術、流しわけ技術の確立に成功し、そのバイオ応用の可能性まで示した。