表題番号:2013B-096 日付:2014/04/29
研究課題高階エネルギー最小化による高次元画像処理の逐次高階化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助教 望月 義彦
研究成果概要
本研究の目的は、グラフカットによるエネルギー最小化問題を考える際に必要となるエネルギー定義を自動的に決定することである。一般に、高階エネルギーと呼ばれるものはより良い推定を与えることが言われているが、実際にどのようなエネルギーを作るべきかは明確な指標がない。そこで、エネルギー設計を行う上で役立つエネルギーの良さを与える指標の開発が必要である。
今回は、高階エネルギーを用いたセグメンテーション手法を主要な研究対象とし、様々なエネルギーの構成を検討した。一つは、2つのボクセルに対するCT値を条件とするもの、また位置を条件とするもの、3つ以上のボクセルに対するものなどである。このようなもので定義されるエネルギーはボクセルの配置などを様々に変化させる必要があるため、組み合わせが膨大である。したがって、実用的にはそのうちどれが重要であるかを見極める必要がある。理論的にこれを調べるために、複数の情報量を検討した。今回はそれぞれのボクセルがとるラベルを確率変数として、その相互情報量を計算することで、様々な条件がどのように影響し、どの条件を採用するべきかの指標とする手法を開発した。現段階では理論的な検討であるが、今後実際にエネルギーとして採用し、セグメンテーション結果を評価する実験を行う必要がある。また、高階化する方法についてはまだ見当の余地があるため、今後も継続的に調査を続ける。
また、エネルギーの各項は通常確率分布から計算されるので、その単純和をとることでエネルギーは定義されるが、一部確率分布では表現されない項が含まれると、各項のバランスをとるために重みを考慮する必要がある。このような超パラメタを設定するために、推定結果から、その結果の良さを評価する手法を開発した。これは、推定結果と真値との比較を行い、統計的な量との相関が高いものを利用して計算されるものである。これにより、複数のセグメンテーション結果を最良なものに選択することができる。この手法では、確率分布としての視点からの考察が終わっていないため、今後は重みと確率分布との解釈を明確にしていきたい。