表題番号:2013B-095 日付:2014/05/12
研究課題イベント発生間隔を考慮したデータマイニングによる学習つまずき発見
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 山名 早人
研究成果概要

今年度、同研究課題において、「記憶が重要となる国語や社会の科目」を想定した。すなわち、学習上のつまずきとして記憶が関連する問題に対して取り組んだ。具体的には、被験者が記憶すべき事項を覚えているかどうかを判定するための手法について研究を実施しシステムとして構築すると共に、手書き入力を効率化するための手法について研究を実施した。

【記憶の自動判定】
物事を記憶するという行為は,私たちが社会で生きる上で必要不可欠な行為である.近年,タブレット端末が教育現場へ導入され始めたこともあり,タブレット端末における効率の良い記憶支援システムの設計が必要とされる.そこで,まず学習者の主観的な記憶度と客観的な記憶度に関する調査を行った.具体的には、1週間後の記憶度から客観的な記憶度が学習者自身の認識と一致しているかどうかを調べた.その結果,学習者が学習時点で「覚えた」と判定する事項に対してその2割は、実際には1週間後に忘れることがわかった。
そこで、タブレット端末上で取得可能なオンライン手書きデータに着目し,オンライン手書きデータから記憶の定着具合を客観的に推定することで,記憶支援を行うシステムを提案した.本システムでは,将来忘れることのない記憶を定着記憶,近い将来忘れる可能性がある記憶を未定着記憶とし,学習した事象をいずれかに分類する.12名による被験者実験の結果,未定着記憶の事象を精度100%,再現率95%で分類可能である結果が得られた.
本システムを利用することによって未定着記憶を効率よく学習することが可能となり,記憶学習の効率向上へとつながる可能性が示された.

【手書き入力の効率化】
単語を書く際に各漢字を途中までしか書かなくとも,希望する単語を動的に予測し,手書き入力を高速化する手法を提案した.評価実験では,提案手法と既存手法で同じテキストを入力し,入力にかかる時間とストローク数を記録した.その結果、提案手法を用いた場合,入力にかかる時間の削減はできなかったが,ストローク数を既存手法より少なくすることができることを確認した。

 以上の研究成果をもとに今後も学習のつまずき発見に関する研究を継続していく予定である。