表題番号:2013B-088 日付:2014/04/23
研究課題高次元時系列データの数理理論構築とその諸分野への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 谷口 正信
研究成果概要
本研究では、高次元データへの統計手法の開発と応用、安定過程に対する統計推測、時系列に対する滑らかでないコントラスト関数による推測理論の構築、従属データに対する経験尤度法の使用、また一般化モーメント法の開発を行った。特に、安定過程に対しては、自己正規化変換をしたピリオドグラムに基づく経験尤度法の提案と経験尤度比や経験尤度推定量の漸近分布の導出を行い、この分野に新しい風を入れた。多次元非正規収益率過程へのポートフォリオ係数の推測についても、高次モーメントに基づく推定量の動きを明らかにした。また極めて一般的な確率過程に対する適合度検定として、一般化ポートマントウ型検定を提案して、これが漸近的にカイ2乗分布に従うための条件を明らかにした。因果性検定では、Whittle 尤度に基づいて同時因果性を検定する統計量の提案し、その漸近分布を明らかにした。近接単位根過程に対しても、検定統計量の漸近特性を極めて一般的な設定で展開した。
時系列の補間は、欠測値を含むデータに有効であるが、時系列の線形補間誤差に基づくコントラスト関数による推測論も展開した。意外な結果としては、このコントラストによる推定量は、一般に漸近有効にならないことを示した。通常の有効推定量は、線形予測誤差を最小にする推定量として特徴づけられるが、過去と未来の情報を使う補間誤差最小基準でこのような結果が得られることが判明した。
 課題に関係するシンポジュームも、下記のように開催し活発な議論が行われた。
(1)「高次元データに関連する統計理論の新展開とその応用」、 於 小樽商科大学、開催責任者:劉慶豊2013年9月5日ー7日。
(2)「一般化線形モデルの最新の展開とその周辺」、於 千葉大学、開催責任者:汪金芳 2013年11月8日ー10日。
(3)「統計科学の新展開」、於 金沢大学、開催責任者:星野伸明 2013年11初27日ー29日。
(4)「Stable Process, Semimartingale, Finance & Pension Mathematics」於 早稲田大学、開催責任者:谷口正信、 Dou, X. and 濱田健太。 上記シンポジューム報告は下記:http://www.taniguchi.sci.waseda.ac.jp/kakenhoukoku2011.html においた