表題番号:2013B-080 日付:2014/04/11
研究課題極超音速用三次元形状インテークの新設計手法の構築と高性能化基盤技術の実証
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 佐藤 哲也
研究成果概要
 本研究では、三次元Busemannインテークの等エントロピ圧縮による高性能という長所を活かし、始動性の悪化や長さが長くなるという短所を克服すべく、新形状のインテークを設計し、風洞実験およびCFD解析によって性能の実証を行うことを目的とした。今年度の研究成果を以下に示す。
 第一に、Taylor-Maccoll方程式およびStreamline traced techniqueを用いて、性能を落とすことなく、長さを短縮できるインテーク形状を設計した。従来の入口楕円-出口矩形インテークと比べ、入口部を半楕円、半矩形型に変えることにより、二次流れを軽減させることができた。
 第二に、非粘性計算によって、5種類の形状の異なるインテークを解析した。Streamline traced technique を用いて設計した切り込みを持つインテークは、設計の元となった軸対称形状と同等の性能が得られることが確認された。また、改良型である前述の楕円、半矩形型インテークは、矩形入口形状に比べ長さを16.3 %短縮でき、同じ長さの楕円入口形状に比べ、全圧損失を8.9 %減少させることができた。非設計点マッハ数においては、いずれの形状も良い性能を示した。
 第三に、超音速風洞実験(JAXA相模原キャンパスの超音速風同実験装置を借用)によって、楕円、半矩形型インテークの性能を検証した。複雑形状である本インテークを光造型技術を用いて製作することによりコストを低減した。金属材料に比べて、強度が弱い部分を金属板で補強することにより、風洞実験に耐えうる強度を確保した。風洞装置の故障により、Mach 2条件のみで実験を行った。下部カウルの位置による離脱衝撃波の位置や振動の様子などの流れ場の変化を確認した。風洞実験を粘性および非粘性の数値解析と比較し、衝撃波の位置が異なることにより、最大壁面静圧で、約10%の差異を生じた。
 以上、ほぼ計画通りに進み、外部講演3件、修論1編、卒論1編の成果をあげることができた。この結果を踏まえ、更なる改良設計と高マッハ数での性能評価を実施する予定である。