表題番号:2013A-966 日付:2014/04/11
研究課題融解晶析により不純物を高度分離するプロセスに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 神代 瑞希
研究成果概要
2013年度特定課題研究のテーマは、融解晶析により不純物を高度分離するプロセスに関する研究であり、多成分系の融解晶析における不純物同伴機構の解明および最適な分離精製プロセスを見出すことを目的として研究活動を実施した。
工業プロセスとして確立されている融解晶析は、主に有機化合物を対象物質として選定しているが、無機物質を対象にしている例は多くなく、この分野の研究に価値がある。本年度の研究は、筆者が嘗て本学の博士後期課程を通じて得られた研究結果より、未だ解明されていない課題の解決のため実施し、特に本年は固体の不純物が結晶精製に及ぼす影響を明らかにすることを研究の目的とした。既往研究により、固体不純物が操作温度、攪拌操作によって分離される知見が多く得られている。また、操作時間、結晶粒径などのパラメータが発汗・融解に直接関係し、分離精製に影響を与えることが示唆されているため、操作時間、固体不純物の種類をパラメータとして、既往結果の補填を含めて、試験を実施した。精製効果の指標としては、晶析工学の見地から解析することを狙い、純度、分離係数を算出した。
研究結果として、操作時間については精製対象物質と不純物の量、および精製対象物質と不純物の割合により精製効果が影響を受けることが示唆された。また、不純物の分布が精製対象結晶の内側に多く存在するか、外側に多く存在するかが精製時間に強く影響されることが示唆された。したがって、融解晶析を実施する前の晶析プロセスが製品の品質や精製時間にとって重要となることを見出だした。結晶粒径においては、精製対象物質と不純物の粒径が精製効果に大きく影響することが示唆され、粒径比が重要な因子となることが考えられたが、データに分布があり試験数が現在不十分なため、今後の課題として挙げられる。本研究において得られた結果は、無機物質の融解晶析の分野において寄与するものと考えられるため、今後も継続して試験を実施していく。