表題番号:2013A-942 日付:2014/04/11
研究課題機能的電気刺激を用いて手に情報を伝達するシステムとその応用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 助教 玉城 絵美
研究成果概要

機能的電気刺激を用いて手に情報を伝達するシステムとその応用に関する研究

1. 背景
ハンドジェスチャの情報をコンピュータに入力する研究は盛んに行われているが、逆にコンピュータの情報から手形状を制御するシステムは少ない。もし、ヒトの手指を自在に制御することができれば、様々なハンドジェスチャの情報伝達システムとして利用できる。

2. 本研究の目的
 本研究では、非侵蝕性のパッド型の配列型電極を用いて、手指を動作させる筋肉が密材している前腕周辺を電気刺激し、コンピュータからヒトの手指形状を制御するPossessedHandを提案した。電気刺激パターンと手指動作の学習による初期設定システムを提案し、医学や工学の専門知識を持たない使用者でも手指形状を制御できる様にになった。しかしながら、現段階では一つの関節につき“曲げる”と“伸ばす”の情報しか伝達できず、関節角度や指先位置の制御等の精密に制御するまでに至っていない。
そこで、まずはヒトの手指の関節角度の制御と指先位置の制御を試みることにし,今期は手指の関節角度の制御システムを開発し,その動作を確認した。

3. 研究方法,結果と今後の予定
 関節角度の制御について,モータ制御で用いられるPID制御(別名: Proportional Integral Derivative Controller)で関節角度の制御システムを構築した。PID制御は,Proportional(比例), Integral(積分)とDifferential(微分))の3つの制御方法を組みあせて,的確な位置や角度にモータを駆動させるフィードバック制御の一つである。
前述のPossessedHandの電気刺激装置を手首の掌屈に使用される腕の筋肉に接続し,電気刺激量についてPID制御を行い,関節角度について0, 20, 40, 60度を目標値として動作させたところ,結果として標準誤差5度以内で動作することを確認した。このとき,フィードバックとしてシステムに与える角度は,データグローブ装置に付属する曲げセンサを手首の位置に置いて計測した。角度制御の精度を確認する際には,データグローブでなく,定規で実測した。
また,PID制御から微分制御を排除したPI制御でも同様の動作であったため,1つの関節を制御する際には,PI制御でも十分である可能性が高いと考えられる。ただし,制御速度や個人差を考慮し,今後多数の被験者に協力してもらい,実験を行う必要がある。関節角度の制御が,今期の成果で得られた通り多数の被験者でもPI制御で十分であると実験で示された場合,来期は手首から指先までの関節を4リンクとした複数の関節による指先位置の制御について研究を行う予定である。