表題番号:2013A-877 日付:2014/04/01
研究課題美努力支援のためのデジタルメディア技術
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 専任講師 橋田 朋子
研究成果概要
 健康・美容への意識の高まりを背景に,デジタルメディアを活用して,体の状態をセンシング・記録する仕組みや,身体に働きかけるデバイスなど,デジタルヘルスケア研究への需要が加速度的に高まっている.本研究ではその中でも,需要はあるが“健康”に比較してその取り組みがまだ萌芽的な“美容痩身”を対象とし情報メディアを用いて自己を測定し外在化するメディアの検討・実装を行った.
 まず一つめの成果は,今の美体度をその場で示し,未来の美体を画像で見せる仕組みの創出である.既存の体重や体脂肪といった身体数値のみを計測するデバイスでは全体のバランスが見えにくく,効果が見えにくいために途中で挫折したり,逆にやり過ぎてしまって気づかないうちに心や体の健康を損ねる可能性があるといった課題があった.そこで美体のより直感的な把握を可能とするメディアを目指し,具体的にはカメラを内蔵し,タッチ機能を備えた小型タブレットPCを活用して,定位置での全身写真撮影と記録(ライフログ)を可能にすることと,撮影した全身写真をその場で痩身化したり肥満化したりできるようなソフトを開発した.画像処理による身体の変形を効率よく行うため,プロのエステティシャンへのインタビューを通して,身体のどのような部位に関して特に多くの人が気にし,またエステなどでも効果が見られるのか,を明らかにした上でこれらの部位の変形操作が容易になる仕組みを実装した.また現在のその人の痩せ具合に応じて,痩せた画像と太った画像とを見せることの効果が異なるかなどを,心理実験などを通じて調査した.
 二つめの成果は,計画書では美肌や美髪のための環境センシングをあげていたが,美肌や美髪といった狭い対象にとらわれず,情報メディアを用いて自己を測定し外在化するメディアをSELFIE メディアと名付け,今後,健康だけにとどまらず自己の見えるけれども気がつきにくい外面や,外からは伺いしれない内面に関して,特にどのような対象についての測定や外在化への要求が高まっていくのかということを広く調査することにした.具体的には,学外での企業デザイナー等に対するレクチャーやワークショップを通じてヒアリングし,その測定手法について考察・デザインする試みを行った.