表題番号:2013A-6477
日付:2014/04/11
研究課題高等学校物理教材としての放射線検知器の開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 本庄高等学院 | 教諭 | 影森 徹 |
- 研究成果概要
- これまでに,高校物理の授業で活用できる種々の放射線探知機などを製作し活用してきた。今回は,現在社会問題になっている海底や湖底に採石した放射性物質からの放射線をどのように調べるかを知らせるべく,画像認識により自律航行ができガンマ線検知器を搭載した無人型潜水機(autonomous underwater vehicle: AUV)による水底堆積物のガンマ線量を測定する装置を開発したので,以下に装置の概要を述べる。
1. 機体本体
安価かつ変更拡張を容易にするという2つの点を実現するために下水管用の塩ビパイプやキッチン用のプラスチックボール,本棚用のアルミパイプなどを使用した。
また、船体の外装には,様々なインターフェースを用途に合わせて自由に装着できるように船体の両側にアルミのレールパイプを使用した。防水には各接続部にシリコン製のゴムでできたオーリングを使用し、コネクター部分には防水コネクターとエアコンのダクト用のコーキング材を使用した。加えて水中で船体を中性浮力に保つため、船体の外部に浮力材を取り付けた。
2. 電源
ニッカドやニッケル水素電池よりも軽量で容量が大きく、高い電圧が得られるため、リチウムポリマー二次電池Z80004S-30-ZIPPY Flightmax 8000mAh 4S1P 30Cを使用した。
3. モーター
スクリューを回すモータには、防水加工をせずに水中で使用でき、寿命が長く、エネルギー効率が良いという点から三相ブラシレスモーターTurnigy D3548/6 790KV Brushless Outrunner Motorを使用した。
モータードライバーにはTurnigy TrackStar 1/10th Scale 60A Car ESC Versionを使用した。このモータードライバーは本来ならば冷却ファンによる冷却を行うが、今回は冷却効率を向上させるため水冷式にした。その為、冷却ファンを取り外し、熱収縮チューブとシーリングにより防水加工を施して機体の外部に取り付けた。
4. コンピュータ
種々のプログラムを動かすコンピュータは,小型で省電力設計された高性能コンピュータである、ベアボーンキットIntel NUC DC3217IYEを使用し,OSはWindows 7 Professional 64bit SP1を使用した。
5. センサー
センサーは機体の傾きや方角を検出するために、3軸ジャイロセンサー、3軸加速度センサー、3軸コンパスと複雑な9軸MotionFusionアルゴリズムを処理できる慣性計測装置MPU-9150を搭載した。センサーとコンピュータとの通信はArduino(Arduino Uno)を使用した。
6. プログラム
画像認識ソフトとしてOpenCV(ver2.4.3)を用いた。言語はC++やC#を用いた。
7. 放射線測定器
放射線の測定を行うため、シンチレーター(LUDLUM 44-10)を防水加工したものを機体の外部にとりつけ、機体内部に高圧電源と初段アンプを装備した。アンプからの信号は機体内のコンピュータにマイク端子から入力し録音機能によりデータを保存した。そのデータを測定後に読み取り、表計算ソフトで分布図を作成した。
その結果,実験用のプールの底に置いた放射性物質からのγ線を測定することに成功し、当初計画していた海底や湖底で放射線測定の方法を教材化することができた。