表題番号:2013A-6465 日付:2014/03/26
研究課題非線形放物型偏微分方程式の解の性質についての研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 穴田 浩一
研究成果概要
 非線形現象を表現した偏微分方程式の理論的解析的な研究およびコンピュータによる数値解析的な研究を行っており、本研究課題に関連して曲線短縮問題や曲面収縮問題に現れる方程式にみられるような退化放物型偏微分方程式の解が爆発する問題に過去の研究成果として、これらの問題に現れる偏微分方程式の非自明な自己相似解の存在、自己相似解の安定性や、時間発展に伴う振舞の違いによる解の分類などが挙げられる。

 本研究課題は、その成果を踏まえてまだ解決されていない部分について考察し、解決していくことであった。実際には、申請時の研究計画・方法でも述べたように、この問題に現れる非線形放物型偏微分方程式の解は時間発展に伴ってある種の単調増加性が現れることが、すでにいくつかの仮定の下で証明されているが(査読論文「Asymptotic behavior of blow-up solutions to a degenerate parabolic equation, Journal of Math-for-Industry 3 (2011) 1-8」で発表済み)、本研究の中でこの成果を拡張することを第一の目標と定め、研究に取り組んだ。

 さらに、その研究過程において「解の領域境界付近における評価」「解の時間発展に伴い最大点が境界へ集積することはないことの証明」「解が発散してしまう領域のルベーグ測度の評価」について、過去に得られている結果よりも厳密に行う必要性が認識されたため、これら3つに関する考察も行った。

 その結果、研究過程において必要性が認識された3点について、より厳密な形で証明を行うことに成功し、それらを用いて、本研究の第一の目標である「解は時間発展に伴ってある種の単調増加性が現れる」という成果を拡張することができた。

 この結果は論文「Some Features for Blow-up Sokutions of a Nonlinear Parabolic Equation(共著)」にまとま、現在投稿中である。