表題番号:2013A-6459 日付:2014/03/30
研究課題オンデマンド発音授業における学習支援の方法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 教授 戸田 貴子
研究成果概要
研究課題:オンデマンド発音授業における学習支援の方法に関する研究
研究番号:2013A- 6459
研究代表者:戸田貴子

本研究は、本学において増加傾向にある海外からの留学生に質の高い日本語教育を提供するために、CourseN@viを活用した対面・オンデマンド併用型の日本語発音授業の効果検証を行い、新しい発音学習支援の方法を検討するものである。
本研究の期間内に、予定されていた2つの調査を遂行した。まず、調査1は非対面式発音授業の効果検証である。日本語教育研究センター設置の「なめらか!発音3-4」の受講生で、学部生・大学院生・別科生を対象に調査を行い、非対面式の発音指導の効果を検証した。次に、調査2では学習者を対象にフォローアップ・インタビューを行い、発音学習の実態と学習者の意識を明らかにした。
以下のとおり、本研究の成果を公開した。
①研究成果を3本の論文にまとめ、『早稲田日本語教育学』第16号にて発表した。論文の詳細は以下のとおりである。
・戸田貴子・大久保雅子(2014)「新しい音声教育実践における学習者の学び―オンデマンド授業による発音学習―」『早稲田日本語教育学』16,1-18.
・大久保雅子・張婉明・趙靚(2014)「オンデマンド授業における発音学習支援―メンターによる「発音チェック」機能を中心に―」『早稲田日本語教育学』16,39-60.
・千仙永・小針奈津美・古賀裕基(2014)「BBSを活用した音声学習支援―メンターによる働きかけを中心に―」『早稲田日本語教育学』16,19-38.
さらに、『早稲田日本語教育学』第16号において日本語音声教育特集号を企画し、上記の3本の論文とともに、システム面からみたオンデマンド発音授業に関する国内論文1本、海外(中国・韓国・タイ)から寄稿された3本の論文を掲載し、「日本語音声教育の新展開」として国内外に発信を行った。本特集号により、本学におけるe-leaningを活用した日本語音声教育の全容を提示し、海外における日本語音声教育のモデルも提示することができた。論文の詳細は以下のとおりである。
・稲葉直也(2014)「早稲田大学におけるeラーニングシステム」『早稲田日本語教育学』16,61-72.
・劉佳琦「中国における日本語音声教育の現状と課題―復旦大学日本語学科の取組みからー」『早稲田日本語教育学』16,105-116.
・趙大夏「PBLを導入した日本語発音教育の研究-韓国大学の日本語音声学授業を中心に―」『早稲田日本語教育学』16,73-86.
・タサニー・メーターピスィット「タイ人日本語学習者のための音声教育の現状と課題―教師の教育方法と学習者の取り組み方を中心に―」『早稲田日本語教育学』16,87-104.
②韓国人学習者の学びに焦点を当てて「発音BBS」のデータを分析し、韓国の韓国日本語学会において研究発表を行った。発表のタイトルは以下のとおりである。
・戸田貴子・千仙永・大久保雅子「インターネットを用いた音声教育実践―「発音BBS」における韓国人学習者の学びを中心に―」(於:白石芸術大学校、ソウル 2014年3月22日)
③早稲田大学日本語教育学会にてポスター発表を行い、継続的な自律学習に繋がる具体的な発音学習支援の方法を提案し、日本語教育関係者と意見交換を行った。発表のタイトルは以下のとおりである。
・戸田貴子・大久保雅子・千仙永・張婉明・趙靚「日本語学習者の音声習得を促す発音学習支援―継続的な自律学習に向けた支援方法―」(於:早稲田大学、東京 2014年3月29日)
本研究の成果は「なめらか!発音3-4」の授業にも活かされ、本学の外国人日本語学習者を対象とした日本語音声教育に貢献することができた。さらに、本研究の成果を踏まえたうえで、CourseN@vi上のコンテンツを追加し、新たな日本語音声教育の教育基盤を構築することができた。次年度も引き続き対面・オンデマンド併用型の日本語発音授業を開設し、本学の外国人日本語学習者に発音学習機会を提供していく予定である。