表題番号:2013A-6458 日付:2014/04/05
研究課題ピア・ラーニングを実施する教師たちの学び合いの場における協働
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 教授 舘岡 洋子
研究成果概要
 本研究は、ピア・ラーニングを実践している教師たちが自らの実践を持ち寄って互いに学び合う「場」を作り、その場において教師たちがどのように協働して自らの実践を改善、向上させていくのかを明らかにし、今後の教師養成および「学びの場づくり」に資することを目的とした。
 この研究の動機は、教師の成長を支える教師研修を研究者(本研究の申請者)が研究者の視点で実施するのではなく、現場の実践者(教師たち)が各自の問題意識に沿って各自のテーマを持ち寄り、主体的に参加し問題解決をする場づくりをするべきではないかと考えたところにある。教師の成長を支える教師研修の場は、かつての講義型研修モデルから、近年のワークショップなどの参加型・体験型モデルへと変容してきた。しかし、講義型にせよ参加型にせよ、どちらも研修をつくる側(講師側)の問題意識によってデザインされ、準備されたものである。そのような研修(ワークショップ)とは別に、教師自身が自らの課題を持ち寄り、教師自身のピア・ラーニングにより解決する場を提案し、実施するところが本研究の独創的な点である。教師自身が自らの課題をもつこととそれを主体的に解決しようとする場こそが、成長する教師を支える場づくりであろうと考えたからである。
 具体的には、「協働実践研究会」という研究会において、本研究の主旨を説明し、本プロジェクトへの参加者を募った。日程調整などの結果、総勢10名のメンバーでスタートし、1~2か月に1回の対面のミーティングとサークルスクエアを利用してのオンライン上のディスカッションを行った。対面では毎回、一人ずつ自身の現場でのピア・ラーニング実践を報告し、そこでの課題を提示し、ほかの教師からアドバイスやコメントをもらうという形で進めた。毎回、ミーティングの後は、全員が「内省シート」を作成し、振り返りを行った。筆者(申請者)は何かを教えるという立場ではなく、参加者の一員として参加した。研究としては、毎回のディスカッションの録音データ、議事録、内省シートをデータとした。
 今年、3月までに、ピア・ラーニングを実践する「教師コミュニティ」という学び合いの場が生成されたといってよい。互いのアドバイスを傾聴したり、相手のための情報提供をしたり、重なりのなかったところに重なりを作って協力し合う動きが見られるようになった。また、1年の予定で始めたプロジェクトであったが、メンバーの総意により4月以降もコミュニティとして集まることが決定された。