表題番号:2013A-6423 日付:2014/03/27
研究課題学校の朝の休み時間における子どもの身体活動を推進するための支援方法の提案
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 助教 石井 香織
研究成果概要
子どもの身体活動を推進していくためには、場面特有(通学中や休み時間など)の身体活動実施の実態を把握し、その活動に影響を及ぼす重要な要因を明らかにし、我が国の子ども全体に対して広く普及できる実用的な支援方法を構築することが極めて重要である。しかし現状では、どのような場面でどのような種類の身体活動をどの程度行っているのかを明らかにした研究は僅かである。学校として支援が行え、子どもの裁量で身体活動を実施することが可能な時間として、朝の休み時間に着目し検討することの実行可能性が高いことが挙げられる。朝の休み時間は、学校生活の中で身体活動を増やす取り組みを行う重要な場面だと認識されていながらも、その取り組みの有効性を証明した研究、さらには朝の休み時間の身体活動実態でさえ明らかになっていないのが現状である。そこで本研究では、子どもの学校内での朝の休み時間の効果的な身体活動支援策を検討するため、その時間帯の身体活動の実態及び重要な関連要因を明らかにすることを目的とした。対象者は東京都の小学校8校に在籍する4年生の児童607名(男子298名)とした。4月~5月に、加速度センサー付歩数計(スズケン社製ライフコーダ)7日間連続装着によって、朝の休み時間(登校可能時間から朝の会まで)における中等度強度以上の身体活動時間を測定した。また、学校内の環境要因を把握するため、校内身体活動環境尺度を用い学校内の用具、施設、安全性を評価した。朝の休み時間の身体活動時間の性差をBMIを調整変数とした共分散分析にて検討した。また、朝の休み時間の身体活動に影響を及ぼす学校内の環境要因を解明するため、性およびBMIを調整変数とした重回帰分析により、身体活動指標との関連を分析した。有効データが3日未満の者を除いた325名を分析対象者とした。結果として、朝の休み時間における中等度以上身体活動時間はわずかであり、男子(平均±標準偏差:5.30±3.40分)は女子(4.08±2.40分)よりも朝の休み時間における身体活動時間が有意に長かった(p<.001)。また、朝の休み時間における中等度強度以上の身体活動時間の長さには、施設が影響を及ぼしている傾向が認められた(R2=.049, 標準化β=.117, p<.075)。本研究の結果より、我が国の小学生において朝の休み時間帯の身体活動を推進する余地があり、学校内の施設に着目し支援を行っていくことにより朝の休み時間の身体活動を効果的に推進できる可能性が示唆された。