表題番号:2013A-6352
日付:2014/03/01
研究課題スマートグリットに対する消費者の受容可能性に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学総合学術院 | 教授 | 鷲津 明由 |
- 研究成果概要
- 本研究ではスマートグリッド機器であるHEMSの認知度や導入意向と回答者の属性等とのクロス集計を進める中で,普段の省エネ行動がHEMSの導入意向に大きく影響していることが窺えたため,分析は以下の手順で深めることとした。
①省エネ行動に基づく回答者の類型化
②HEMSの認知度・導入意向がどのような人において高いのか
③HEMSの導入意向を強める付加機能,特にどのような人の導入意向を強めるのか
①についてはふだんの省エネ努力の実行の程度や,所有している省エネ機器の水準に応じて,回答者全体を8つの類型(無関心型,省エネ努力型,機器選択型,先進アイテム活用型,機器+省エネ努力中位型,機器+省エネ努力高位型,機器+先進アイテム+省エネ努力中位型,機器+先進アイテム+省エネ努力高位型)に分類した。
②について,努力型,機器選択型,先進アイテム活用型の省エネ行動をともに積極的に実践している人でHEMS認知度および,導入意向が高い傾向がある。また,建て替え・買い替え,リフォームとも,検討している人の方が認知度,導入意向が高い。
③についてHEMSの機器に8つの選択肢に挙げた追加機能が付加されればHEMSの導入意欲が強まると思うかという設問について分析した。選択肢に挙げた様々な追加機能について,各機能が付加されればHEMSの導入意欲が強まると思うかという設問への「そう思う」の回答割合を,省エネ行動のタイプ別に抜粋して比較した。
全体では,発電装置・蓄電池の併用が21.8%で最も高く,屋内用の快適性を改善する機能,家族の見守り機能がこれに次いでいる。
機器選択型,努力型(大)の省エネ行動を実践している人,および機器選択型,先進アイテム活用型,努力型(中および大)の省エネ行動を実践している人に注目すると,エコ診断サービスが付加されれば導入意欲が強まるという回答が他の区分の人に比べて特に多い。建て替え・買い替え,リフォームへの意向との関係に注目すると,多くの付加機能について建て替え・買い替え,リフォームの意向を具体的に持っている人ほど,付加機能が導入意向を強めると回答している。このため,現状では建て替え・買い替え,リフォームをHEMS導入のビジネスチャンスに位置づけることが有効だが,今後は,省エネ効果だけではない幅広い機能をアピールして建て替え・買い替え,リフォーム以外のタイミングでもビジネスチャンスを創出することも検討する必要がある。