表題番号:2013A-6335
日付:2014/03/12
研究課題SiCMOS技術を用いた高線形・超低消費電力パワーアンプの研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 吉増 敏彦 |
- 研究成果概要
- (1) 研究目的
Si CMOS技術を用いて、高線形で超低消費電力特性を有するパワーアンプ回路方式を考案する。
(2) 動作周波数
パワーアンプの動作周波数は、2.4GHzとした。この周波数は、工業や医療にライセンス無しで使用できるISMバンドであるため、研究成果を実用化する際に、多くの応用が考えられる利点を有する。
(3) 動作条件と回路方式
超低消費電力特性を実現するため、動作電圧を0.5 V~1.0 Vとした。また、消費電流を低減するために、スイッチング動作で電力を出力するE級動作回路の改善を実施した。動作電圧=0.5Vであるため、パワーアンプの出力電圧振幅を高くすることができない。しかし、E級動作を改善することで、動作電圧の2倍以上の電圧振幅が得られる回路方式を考案することに成功した。具体的には、ⅰ)トランジスタの負荷線を寝かせることで、小さい入力電力でトランジスタを飽和させること、ⅱ)トランジスタの出力側(ドレイン端)と電源間に通常より少し大きいインダクタを接続する、さらに、ⅲ)トランジスタのドレイン端子と接地間にキャパシタを接続し、トランジスタの出力電圧と出力電流波形が重なりにくい回路とした。これらの効果により、わずか0.5V動作で良好なスイッチング動作が期待できることを回路シミュレーションで確認した。
(4) シミュレーションで得られた特性
動作周波数=2.4 GHz.
動作電圧=0.5 V、において、
小信号利得>10 dB
線形出力>2.0 dBm (1.6 mW)
飽和出力>3.0 dBm (2.0 mW)
電力効率>25.0 %
が得られた。また、動作電圧=1.0 Vにおいては、
小信号利得>11 dB
線形出力>7.0 dBm (5.0 mW)
飽和出力>9.0 dBm (7.9 mW)
電力効率>30 %
の良好な出力電力と効率が得られた。
(5) まとめ
超低動作電圧で良好な出力と効率がシミュレーションで確認された。これにより、新規考案のE級増幅器の有効性が確認された。