表題番号:2013A-6333 日付:2014/03/23
研究課題適法型進化的システムの知的構成と応用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 古月 敬之
研究成果概要
 進化的手法は、生物の遺伝子の複製、選択淘汰のメカニズムをモデルとしたもので、全局的な探索手法として工学的に幅広く応用されているが、対象問題の解空間の情報を考慮しないため、膨大な解空間が有し、候補解の評価に時間が掛かるという複雑な最適化問題には、適用しにくい問題点がある。そこで、ゲノムの解析や機械翻訳などの応用を想定した適応型進化的システムの知的構築を行う。すなわち、進化的手法を適応化することだけでなく、対象問題の解空間の情報を自動的に抽出し活用しながら適応型進化的手法の探索を誘導するように構築を行う。
 本年度では、進化的手法一種である差分進化(Differential Evolution, DE)を改良し、様々な考察を行った。
 ①TOP階DEとBOTTOM階DEという二つのDEからなる2階構造を有した差分進化について考察した。TOP階のSimplified DEは解空間の情報を抽出し、これを活用しながらBOTTOM階の差分進化DEの進化パラメータを自動的に適応することを実現する。また、BOTTOM階の差分進化DEはダブルセットの進化パラメータを有し、並列的に進化することにより進化パラメータの評価を行う。
 ②ニッチング差分進化について考察した。初めに、Clearing Niching Methodにより差分進化の集団全体の適応度を向上すると同時に集団個体の多様性を維持する。次に、個体の適応度や探索空間の探索履歴情報などを取り入れ、ボルツマン(Boltzmann)選択機構で、集団全体の適応度向上と個体の多様性維持という二つの対立の目的を有する操作を適応的に調整行う。これにより差分進化をロバスト的・効率的にする。
 ③20個の最適化問題からなるベンチマークによる数値実験を行い、探索結果や探索成功率などを指標として、改良した差分進化法の基本性能を考察し、提案法の有効性を明らかにした。