表題番号:2013A-6305 日付:2014/04/08
研究課題有機ポリマー・金属酸化物ハイブリッド太陽電池の開発とキャリア特性の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 古川 行夫
研究成果概要
活性層として,特に,2013年度に高い変換効率が報告され,研究が急速に発展している有機無機ペロブスカイト(CH3NH3PbI3)微結晶に注目し,研究を進めた.インジウム・スズ酸化物(ITO)/緻密TiO2層/メソポーラスアルミナ:CH3NH3PbI3/spiro-OMeTAD/Au構造の太陽電池を作製して,電流・電圧特性を測定し,光電変換効率を求めた.緻密TiO2層はゾル・ゲル法で作製した.前駆体のスピンキャストの回転数を変えて,加熱形成後のTiO2膜厚を変化させて,太陽電池を作製して変換効率を測定した結果,180 nmが最も高い値を与えた.スパッタ法でのTiO2薄膜の作製を試みたが,よい変換効率を得ることはできなかった.X線回折を測定し,有機無機ペロブスカイト結晶ができていることを確認した.また,可視吸収スペクトルの測定から,可視領域に幅広い吸収が観測された.メソポーラスアルミナ:ペロブスカイト結晶層は,ペロブスカイト結晶の溶液をアルミナ層にしみこませて作製した.この過程で,溶液の濃度を変えて,太陽電池を作製して変換効率を測定した.40 wt%とほぼ飽和溶液を使用した際に,最も高い変換効率を得た.メソポーラルアルミナ:ペロブスカイト結晶層の厚さを変えて太陽電池を作製して変換効率を測定した結果,300 nmが最も高い変換効率を与えた.以上の条件検討の結果,1.6%の変換効率を得た.また,光励起FT-IR分光法により,位置規則性ポリ(3-ヘキシルチオフェン)とPCBM,ZnO系に関して,光誘起赤外吸収の温度変化を測定し,キャリア移動の活性化エネルギーを求めた.試料として,P3HT, P3HT/ZnO, P3HT:PCBM, P3HT:PCBM/ZnO, P3HT:PCBM/ZnOナノ粒子/ZnOを測定し,ZnOの影響を調べた.その結果,ZnOの存在で活性化エネルギーが小さくなった.これはZnOの大きな電子移動度により,負キャリアの移動が容易になったためと考えられる.