表題番号:2013A-6277 日付:2014/03/07
研究課題初期設計段階における設計評価の統合に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 宮下 朋之
研究成果概要
機械構造物の設計では、市場調査の後、概念設計、基本設計、詳細設計、生産設計などの段階を経て、その形状が決定されていく、さらに近年では、構造物の生産、消費、廃棄などの生産・消費活動における機械構造物の役割を十分に想定した設計が求められ、実際の市場評価と統合され製品設計にフィードバックされる。このように各種の事柄を精度よく想定することが必要となり、さらに、各種の事柄の同時成立性を考慮した唯一の製品を設計していくことが必要となる。このため、通常は構造物の特性は多くの事柄が密接に関連し、設計の評価は、多くの視点より多次元に評価されることになる。複数の評価尺度が適用される機械構造物の設計では、近年のリードタイムの短縮への要求に伴い、設計の初期段階である概念設計における精度の良い設計評価を実施することが設計手戻り低減にともなうリードタイム短縮を可能とし、さらに、円滑な設計工程の進捗に寄与するものと考えられる。そこで本研究では、設計者及び市場の満足度を考慮した設計支援法の構築を目的とする。平成25年度は、設計者の選好や顧客のニーズを含めた設計への満足度に影響する要因項目より満足度を算出する満足度関数(下図左)を定義する。これを利用した設計者の意思決定支援法(下図右)を改良・考案し、設計実験を実施し評価することを目的とし,車両構造物を対象として,以下の方法を提案し,計算実験を実施した.

適用対象構造物として,車両構造物を選定し,その設計変数となる設計指標を選定した.車両構造物が有する機能構造および評価指標の明確化のため,Design Structure Matrix法により構造物が有する設計指標の関連を設計者による一対比較により明確にした。一般的には,設計指標は定量的に表現できるものが多く,その増減の場合を分け,関係性を明確にした.明確にされた構造をもとに,シグモイド関数関数を用い満足度関数を定式化した.車両構造物の性能評価には,非線形有限要素法を適用し導出し、衝突安全性の観点から,評価され定量化した。
(4)多目的最適化手法による評価実験
満足化トレードオフ法により,満足度関数を目的関数として,車両の構造設計問題ついて適用した.通常は物理量により直接に表現される目的関数により評価されパレート解が得られ,その後に,設計者の主観を活用した評価がなされる.この評価過程およびトレードオフ分析により,希求水準の試行錯誤が行われ,最終的な選好解が決定されていく.本研究での提案手法により,この試行錯誤が減少する効果が認めれた.