表題番号:2013A-6266 日付:2014/03/20
研究課題ネパール固有の事業経営モデルを活用した教育モジュールに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 後藤 正幸
研究成果概要
本研究では,発展途上国の一つであるネパールを対象とし,環境や社会に配慮しつつ,経済的に継続発展可能なネパール型の環境ビジネスモデルを事例として導入することにより,大学生向け経営工学教育モジュールを構築することを目的としている.
本研究課題の成果は,経営システム工学科における正規科目「経営実践・海外プロジェクト(2 単位)」の一プログラムであるネパール研修プログラムにおいて実践し,評価を行っている.このネパール研修プログラムは2013年3月に初めて早稲田大学創造理工学部経営システム工学科の学生6名の参加を得てスタートし,2014年3月にやはり学生6名の参加を得て第二回の現地研修プログラムを実施した.この研修プログラムでは,発展途上国であるネパールをフィールドとし,ネパールにおける循環型発展社会システムを実現する方法を探求し,ネパール型環境ビジネスモデルの構築を試みるプロセスを通じて,環境配慮型ビジネスモデルの在り方に加え,統計分析やシミュレーション技法の習得や理解を促進する教育の場を提供している.すなわち,経営システム工学を専門とする学生に対して,日本では得られない新たな学びを提供する場を提供するための教育モジュールである.
2013年度は,そのための教育モジュールを構築するため,特にネパールの豊かな観光資源を活用しつつ,持続的発展可能な観光ビジネスを構築するためのフィールド調査を設計し,教育プログラムに組み込んでいる.このフィールド調査では,ネパールの首都カトマンズと世界遺産であるダルバールスクエアに加え,カトマンズ盆地の避暑地として観光スポットとなっているナガルコットにおいてアンケート形式の現地調査を実施している.その際,現地住民に対してネパール語と英語間の通訳をNational Collegeに依頼し,早稲田大学の学生とNational Collegeの学生が2人1ペアでフィールド調査を実施することで200件近いデータを収集した.これらのフィールド調査に基づき,毎晩のグループディスカッションを通じ,様々な課題や持続可能な観光ビジネスのあり方について検討を実施している.また,その他,女性企業家による活動や都市部のごみ処理マネジメント,小学生対象の観光産業開発教育プログラムの設計と実施等のアクティビティを組み合わせ,2014年2月27日~3月10日のネパール研修プログラムを無事に終了することができた.このプログラムの評価は,参加学生へのアンケート評価によって実施している.また,現地のフィールド調査で収集した多くのデータを日本に持ち帰ってきており,今後,これらのデータに対して統計的な解析を進め,国内学会や国際会議にて発表する予定である.